白の城の兵士の日常

仲仁へび(旧:離久)

第1話 カぺル・マルテン



 白亜の城 廊下『+++』


 カぺル・マルテンは白亜の城に勤める一般兵だ。


 彼女は、几帳面な性格である。


 そんなカぺルはいつも真面目に勤務している、上司や同僚からも一目おかれる存在だった。


 しかしだからこそ、他の兵士のまとめ役として、面倒に巻き込まれる事も多かった。


 カペルは、その日もそうだった。


 彼女の頭を悩ませているのは、同僚の兵士であるディーク・ハイマンだった。


 廊下を歩いていると、視線の先に件の同僚。


カペル「ディーク。そんなところで何をしているのです」

ディーク「ぎくっ!」


 無視するわけにはいかない。


 先にいるのだから。


 ディークが隅の方でしゃがんでいるのを見かけたので、カペルは声をかけた。

 そしたら肩をゆらしたディークが、ぎこちない挙動でぎぎぎと振り返る。


ディーク「こっ、これはカペルさんではアリマセンカー。いいい良い天気デスネー」


 声が思いきりうわずっていた。


 冷や汗をかきながら、唐突に天気の話題について口に出すディーク。


 彼の様子は明らかにおかしい。


カペル「ディーク」


 カペルが覗き込むと彼の手元には、果物箱に入った小さな生き物達が「みゃーみゃー」と鳴いている。


 カぺルは、白い目を向けた。


ディーク「な、ナンですカ?」

カぺル「捨ててきなさい」


 ディークは知っているはずだ。

 この城はペット持ち込み禁止だと。


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