俺は異世界転生される方の住人でした。

@nobuyama

第1話 謎の空腹感

「おい、異世界に転生してすぐに魔法使えてヒロイン可愛くて優等生とか、このアニメありきたりすぎだろ」


 そんなことを画面に向かってひとりで話している男子高校生 樫高斗(かしたかと)は、徐々に身体を蝕んでいる空腹感に頭をイラつかせていた。ついに空腹感を我慢出来なくなった高斗は、財布をジャージのポケットに突っ込んだ。


「ったく、いつもいつもこの空腹感はなんなんだよ」


 大好きなアニメ鑑賞の時間を妨げられた高斗は、愚痴を漏らしながら小走りで近くのコンビニへ向かった。


 家を出て1分ほどでコンビニに着いた。 (この道、何回通ったんだろうな)そんなことを考えながら、自動ドアをくぐった。


 最低限のものを効率的に買い物カゴに入れている最中、ふとレジの奥の壁にかかっている時計が目に入った。


「まだこんな時間なのか」


 時計の時針はとうに12時を超していた。高斗の感覚では、小学生が明日の遠足のために早めにベットに入るくらいの時間なのだ。


 「528円でーす」


 さっさとレジを済ませアニメ鑑賞の続きを見ようと家に向かう途中、小さな人影が目に入った。


「珍しいな、ここら辺あんまり人通らないんだけどな…まあ関係ないか」 





「ぐへwいやーそれはやりすぎだなぁw」


 いつも通り異世界転生の妄想をしながら、来た道を戻っていく。

 

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