突飛なエッセイ共の盛り合わせ

底道つかさ

連載中止のお知らせ

 これは自慢だが、あたしは病気で無職だ。

 なので布団で寝たままでいると血流が止まって手脚が腐り落ちるので、キツイ運動療法に加え何でもいいから毎日動く必要がある。

 毎年、新しい趣味に手を付けては楽しくないと金と時間を潰しているのだが、一番古いものが園芸だ。

 実は今書いている小説たちもその一環なのだが、まあそれは余談だ。


 で、僅か4年しかやっていない園芸も習うより慣れろで今年の春ごろからようやくまともに育つようになってきた。

 家の前は違法建造されたスーパーの通り道で、働き盛りが朝っから屈み混んで土いじりをしてるもんだから、≪花咲か無職≫として最寄りの小学校の不審者リストに載るくらいには名が知れちまったもんさ。


 それが何で連載中止の話になるかって?

 今から正に書き出そう。


 さっき必死に食物を胃に入れていた最中である。母が話しかけてきた。

 ”グラジオラスを植えたいんだけど”

 書き忘れていたが、園芸を始めたのは元々母の趣味で、自分の金を使わなくてよかったからである。バイト代替わりなのだ。

 それで、新しい花の球根を植えたいと言われたのだが、難しい話だった。

 空いている鉢が無く、実験で調合した土が最悪だったから、作り直してやらないといけなかったのだ。

 ただまともに育たないのは大雑把な母にも見れば分かるのだが、何故土が悪いかという説明はやや専門知識が混じるから説明が難しい。


 だが膝に矢を受けた(概念論)とはいえあたしも元理系院生だ。やって見るかい?

 ・イオン交換作用

 ・過肥を原因とする免疫低下による病気と虫害

 ・不良な有機物による土壌のヘドロ化

 ・通気性悪状態による根の加湿と窒息

 ・土中微生物バランスの悪性有利

 ここら辺を一切使わず、今植えてある植物がどうなっているかという、互いの認識するファクト確認しながら、目の前に見える結果を中心に論を組み立てて説明した。

 小学生もわからせる自信がある、自分とは思えぬ良質な傾向対策説明だ。

 文章で書けばこうだ。

 ”まともに育つには土を直さないといけないから直ぐには植えられない。他にやっていることもあるし、最短でもゴールデンウィーク後になる”


 その説明を聞いて母のスマホを見ながらの一言目

 ”ほーん”

 ……さては耳栓して無視してやがったなこの母?


 二言目

 ”それで、いつになったら植えるん?明日?”

 ——土を直さんとまともに成らんと言っとるだろうがこの母!!


 以下母の言、お嬢さま翻訳。

 ”自治会で公園に植えたグラジオラスはもう芽が出ていましてよオホホ”

 ”わたくし細かいことは気にしませんので難しい説明は聞こえません事よオホホ”

 ”とりあえず今週にでも植えてしまいますわねオホホ”


 あたしの脳内返答。

 ——理屈嫌いと大雑把も過ぎるとお排泄物でしてよ!!!


 結論。

 GW中に公開しようと必死になってキーボード使い潰した連載作第一章最終話3万文字は作者都合により打ち切りとなりました。


 あぁん?花植えなんてGW終わってからやればいいだろって?


 あたしは園芸歴なんてたかが4年。お向かいの大旦那様の65年と比べたらうどん粉病菌以下ですが、”上手に園芸をするにはどうすればいいですか”という問いには一つ答えがあります。


 きちんとしたい園芸は人間が暇なときにやる趣味ではなく、植物の生態に合わせて人が時間と労力を作り出す趣味です。


 以上、終わり。

 皆様方に置かれましては長期休暇をご堪能下さいませ。

 あと拙著を見てくださいますと幸いです。

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