第24話 神様とパンツ
「ふむ……」
目の前には、いろいろと飾り付けられたミレイユが居る。上は帽子から始まり、首には黒のチョーカー、白の袖なしワイシャツ、襟には赤白のギンガムチェックネクタイ、赤白ギンガムチェックのミニスカート、黒のニーハイソックスをガーターベルトで留めて、茶色のブーツで締めている。変わっていないのはブーツくらいだ。
元々ミレイユが着ていた淡い色のシンプルなワンピースと比べると、全然印象が違う。今のミレイユは、どこからどう見ても、今時のおしゃれでかわいい美少女だ。元々かわいかったけど、そのかわいさに更に磨きがかかった。
「やっと終わったの?」
やや呆れた様子のミレイユだが、かわいいかわいいと持て囃すと、小さく文句を言いつつも、私の持ってきたアイテムを全て身に付けてくれた。チョロかわいい。私はチョロかわいいミレイユも好きだよ。
「こんなところだな」
ミレイユは元が良いから何を着せても似合うだろう。もっと様々な服を着せてみたいが、私はひとまずこれで満足することにした。
いや、まだ大事なところを忘れていた。私はミレイユのミニスカートを摘まむと、素早くを捲り上げる。
「ちょっと!?」
すぐにミレイユが捲れたスカートを元に戻した。
私としたことが、うっかりしていたな。こんな大事なことを忘れているとは……。
「もー、何なのよー」
顔を赤くして怒るミレイユを無視し、私は目的の物を探し行くのだった。
◇
「あ、戻ってきましたよ」
ちょっと探すのに手間取ってしまったな。種類が豊富で、どれにするか迷ってしまった。
「それで?次は何なの?」
私が持ってくるアイテムを身に着けることに、もうすっかり慣れてしまったのか、ミレイユがちょっとワクワクした様子で尋ねてくる。
「ミレイユ、これに着替えるんだ」
私はミレイユに探してきた『ある物』を手渡した。
「これ?………ってパンツじゃないっ!?」
「そうだ」
現在ミレイユが穿いてるパンツは、色気もへったくれもない、かぼちゃパンツである。私はなんとしても、これを改善したかった。
「しかもなによ、これ…小さくない?」
まるで短パンのような、かぼちゃパンツに比べたら、たしかに布面積は小さいが、私の持ってきたパンツは、一般的な女性用の下着である。殊更、布面積が小さい扇情的なデザインの下着を持ってきたわけではない。
「それが普通だ。小さいのはもっと小さいぞ。アレだ、昨日見た紐みたいなのがあったろ?アレよりマシだろ?」
「あんなの穿くのは痴女よっ!」
ミレイユが、昨日見た超マイクロビキニアーマーを思い出したのか、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「アレとか、マシとか、痴女だとか……。身に着けるわたくしの身にもなってください……」
話の流れで、エレオノールに流れ弾が直撃した。エレオノールが昏い声で呟く。そうだね、嫌々ながらあんなほぼ紐みたいな痴女装備を身に着けるハメになったエレオノールの気持ちを考えると……あれ?おかしいな。ちょっと興奮してきたぞ?
「ご、ごめんね、エル。別にエルが痴女だって言ってるわけじゃないの」
「いいんです。いいんですよ……」
エレオノールが、ハイライトの無い瞳でどこか遠くを見ていた。なーむー。
「とにかく!私はもうパンツ持ってるから、いらないわ」
せっかく持ってきたのに穿かないミレイユ。この手のパンツは気に入らなかったらしい。だが、私はミレイユに、かぼちゃパンツを卒業してほしい。今のままでは、さすがに色気が無さすぎる。それでは楽しくない。そう、言ってしまえば、私は自分の為に、ミレイユのパンツ事情に革命を起こすつもりだ。だって、かわいい女の子には、かわいい下着を着けていてほしいものだろ?チラッと見えた時、かぼちゃパンツでは、がっかりするじゃないか。
「ミレイユよ。言ってはナンだが、そのパンツはダサいぞ?」
私はミレイユの肩に手を置き宣言する。
「え…?」
「それに、そのパンツは女児用、つまり、お子ちゃま用だ。ミレイユちゃんは、いくつかなー?」
私はいかなる手を使っても、ミレイユをかぼちゃパンツから卒業させるつもりだ。慈悲は無い。
「15歳、だけど……」
「15歳なのに、お子ちゃまパンツは恥ずかしいぞ?」
「え?あれ?え?だって、え?でも…」
ミレイユが混乱したように視線を彷徨わせる。
「リリムやディアネットの下着を思い出してみろ。彼女たちはそんなお子ちゃまパンツ穿いていたか?」
「穿いてない……。でも、あの2人は大人だから……」
「ミレイユよ。15歳は成人、大人だぞ?」
「あっ……」
ミレイユは気付いたようだな。己の言葉の矛盾に。
「うん。答えは出たな。では、着替えようか」
「で、でも……」
この期に及んでまだ拒むのか。何がそんなに嫌なんだ?大人しいデザインの普通のパンツなんだが……。
「でも、エルもこのパンツよっ!」
えー…。
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