婚約解消して穏やかに暮らすはずが、婚約破棄で波乱な事になりました

朝霞

第1話 婚約とは?

5歳の時から母親同士が親友関係で交流があったカルバン家と、我が家マルベラ家。5回位は、食事会やらなんやらで顔を合わせた。


12歳の時に、私の母が流行り病で、急逝して、翌年カルバン家のアルベラ様が病で半年の闘病生活の末に亡くなり、交流は途絶えた。

元々が母親同士の友情だから、本人達が亡くなれば、交流が途絶えるのは、当たり前なんだけど。

アルベラ様の葬儀で、一緒に来ていた男の子が、涙が溢れるのをグッと堪えていたのを見た時には、前年の母の葬儀を思い出した。


だからそっと、私が刺繍をした、ハンカチを渡してお父様の手を取って逃げる様に帰宅した。刺繍はお母様に習った私の得意なものだから。

彼はあの後涙を止める事が出来たかな?


15歳の時に、カルバン男爵家からマルベラ侯爵家である我が家に婚約の打診が来た。

カルバン男爵家三男のクリス様と私キアラとのものである。

葬儀で、涙を堪えていた彼だわ。彼は私を覚えてはいないだろうけど。


クリス様は、同じ歳で学園でもイケメンで、女子からは人気者で、プラチナブロンドの髪に碧眼で優しく話し掛けるので、女子の目は直ぐにハートマークに変わる。


だから、モテる自分と婚約出来るお前幸せだろう。


等と思われての婚約打診だと思っていたら、


「僕が父上に無理を承知でお願いをしました。学園1番の才女で、女神の化身とまで言われるキアラと一生お互いを大切に生きていきたい。僕の事はお嫌いですか?」


と言われて固まった。オイオイ嘘でしょ?貴方毎日女子に笑顔振り撒いているじゃない。

考えていた事が表情に出ていたのか、微かに頬が引き攣っていた感覚が、実は微かでは無かったのかも知れない。


「僕は、学園で女子を口説いた事は、一切ありませんよ。信じて下さい。僕は学園に入学してからキアラに夢中でしたから。」


決して私は美人ではない。美人と言うなら、友人の公爵家令嬢サラ・アンダーソンの事を誰もが言うだろう。


サラは、プラチナシルバーの髪にアメジストカラーの瞳で、鼻筋も通った小顔の正統派美人。私はハニーブラウンの髪に、少し明るめのブルーアイ。唯一のチャームポイントは、パッチリ二重の少し大きな瞳位。

そんなサラの横に並ぶと私は二十人並かも知れない。

良いんですよ。見た目よりも知識が大切。見た目は後からお化粧を学んで、誤魔化せば、まぁ十人並位にはなるかも知れない。と思っている。


「失礼ですが、サラとお間違えではありませんか?」


サラも公爵家だけあって、知識基盤がしっかりしているので、定期テストでは、必ず5番以内には入っている。私の名前を言われた気はするけど、こんな平凡以下にイケメンが寄って来る筈がないもの。何かの間違え。聞き違い。危ない危ない。


「僕が、好きだと思った方を間違える訳ないでしょう。間違いなく、キアラ・マルベラ様に申し込んでいます。男爵家ではダメですか?」


イケメンが、上目遣いとは卑怯だ。イケメン度が増して断れない。眩しい過ぎるのよ。


「ありがとうございます。もし、本当に私で宜しければ、お願いします。」


イケメン光線に屈服した私は、受け入れた。違うわ。受け入れさせて頂いた。が正解な気がする。

こうして、クリス様と私は婚約した。


しかし、婚約してから4年後の今学園を卒業してから、アカデミーに進学をした私達は、これも違うわね。私がが正解ね。この婚約が間違いだったと知る事となる。


タイムワープが出来るならあの時の私に言いたい。


「その婚約だけは、辞めておけ。」


と。

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