第15話 目が覚めたら
一樺が意識を取り戻した時は保健室で午後の授業が始まる時間だった。一樺は壁にかけられている時計を見たあと飛び起き「もうこんな時間……!?」と呟き教室へ向かおうと勢いよく起き上がれば一樺は眉を顰め頭を押え「いった……」と小さく呟いた。一樺はため息を吐き保健室を見渡した。そこには誰もおらずどう行動しようか悩んでいた時にガラリとドアが開いた。「あら皐月さん目が覚めたのね良かった」とそこに居たのは保健室の教師だった。一樺は瞬きしたあと笑みを浮かべ「はい。もう大丈夫です。じゃあ私は教室に戻りますね」と教師に告げ、教室に戻ろうとしたその時、一樺の手をパシッと握り「少しお話しましょうか」と笑みを浮かべながら言った。
「あの……授業に行かないと……」
「先生には許可を貰ってるわ。放課後になれば荷物はここに届けて貰うようにも言ってあるから安心しなさい」
「先生……話って……?」
「そうね……貴女がマリアに愛されている事について教えてもらいましょうか。」
「え……?」
「その首にある痣。それはマリアの口付けでしょう?それがあるものはマリアに愛された者と呼ばれる。」教師は笑みを浮かべながら一樺に告げた。一樺はその言葉に目を見開きながら教師の話を聞いていた。
「私もね…持っているのよマリアの口付け。」
「え……先生も……?」
「えぇ……でもこんな事も知っているかしら?【マリアに愛された者は1人のみ。もう1人が現れた場合それはイレギュラーである】と。」
「……えぇ。父から聞いています……」
「だから……貴女はイレギュラーな存在なのよ」そう言って教師はゆっくりと一樺の喉元へ手を伸ばした。一樺はその手から逃れようと後退りをするもそれは教師によって阻まれた。
『我の名を持って汝をここに拘束する。我は鎖我は牢。ーレストリクシオンー』その詠唱が終われば一樺の手首に鎖が現れ、一樺を拘束した。教師は少し怪しい笑みを浮かべ「マリアの口付けを持つ者は2人も要らない。暫くここで大人しくしていなさい」と告げ、ドアを閉めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます