第3話 中学生の頃

中学になって、周りの子達が変わったため、普通にコミュニケーションを取れるようになり、再び穏やかな日々が訪れた。

だが、ある時、

同級生の祐介に呼び出された。

「麗奈、放課後、ちょっと付き合えや。」

麗奈は、いつもの調子で

「わかった。了解!」

と答えた

夕焼けの小径を2人で歩く。

「今日、いい天気だったね。」

「おー。」

視点の定まらない祐介。

「なんか祐介、いつもと違くない?

なんかあった?」

「麗奈、俺と付き合おうぜ?」

「えっ、そんなこと考えたことないよ。

なに言ってるの?」

麗奈は笑い返した。

「ふざけんなよ。お前、いつも俺のこと見てたじゃんか。俺のこと好きだからだろ。」

「そんなつもりないよ。祐介の思い違い。」

「はぁー?毎日、そんな素振りしやがって。思わせぶりだったのかよ。」

あ然としている麗奈を置いて祐介は走り去ってしまう。

一番星が輝き出していた。

その次の日、

教室で祐介は、

「あいつ、俺に色目使ったくせに好きじゃないとか言いやがって。有り得ねえよな。」

「確かに麗奈そんな感じだったな。」

「俺も麗奈は祐介のこと好きだと思ってた。」

「男に媚びうる、やな奴だな。」

「ちょっと可愛いからって、誰にでも尻尾振ってるんじゃないか。」

そんなつもりはないのに、麗奈はまた1人でいる時が、多くなった。


麗奈は、知りあいのいない高校を選んで進学した。

仲のいいグループも出来、麗奈は、つつがなく毎日を過ごしていた。

平穏な日々を取り戻した。

友達と昼休み、お弁当を食べていると、

「麗奈、ちょっといいか?」

武志が声をかけてきた。

「うん?何?食べながらでいい?」

「あっ?ここで?」

武志は一瞬戸惑ったが、

「俺さ、多恵と別れたから。」

麗奈は驚いて

「えっ、なんで別れちゃったの?」

と聞く。

「はっ、お前と付き合うためじゃん。」

みんなの視線が麗奈にそそがれる。

「いやいやいや、なんで?わけわからなくない?」

すると、友達の和美も

「えっ、麗奈、武志のこと好きなんじゃないの?ずっとそう思ってた。」

真由美も

「そうでしょ。仲良かったじゃん。」

戸惑う麗奈。

(なんでいつもそうなっちゃうんだろう。おっかしいなぁ。)

「だって、私、好きとか言ってないよ。そんな気ないって。」

「それ、ひどくない?武志、彼女と別れたんだよ。」

「麗奈って、そんな人だったんだ。真由美、行こう。」

「本当、お前、最低だな!」と武志。

食べかけのお弁当もそのままに立ち去ってしまう。

唖然とする麗奈。

「また、1人になっちゃった。」

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