麗奈の事情

第1話 プロポーズ

えっ、えっ、え〜、これが世に云うフラッシュモブ？)

五月晴れのオープンカフェで、麗奈は固まった。

(店員さんもお客さんも玲司さんも踊ってるやん。)

店内の軽快なリズムに全員キレッキレのステップ！

(私も踊るとこ？聞かされてないよ。誰誰？誰へのプロポーズ？)

頭がグルグルする中、玲司が花束と指輪のケースを空けて膝まづく！

(なにこれ？えっ、私？)

「麗奈さん、僕と結婚してください！」

「はっ？」と驚きを隠せない麗奈。

(待て待て待て。えー、だって先月お見合いパーティーで知り合って3回デートしただけで、まだ手も繋いでない。もちろん、チューも。えっ、世の中、こんなもんなの？)

全員の視線が集まる。

(まずい、これ答えなきゃなの？だよね。)

とりあえず立ち上がり、

(まぁ、いいか)と一瞬のうちに開き直り

「はい。」と答える。

大歓声！！！

「おめでとう！」

「やったね。」

照れて笑う麗奈の横で優しく笑う玲司。

(これ夢じゃないよね？)

IT会社に勤める高身長高学歴のイケメン玲司。

(なんで私なんだろう)

麗奈は、今まで恋愛をしたことがない。

人を好きになるということがわからない。

恋とはなんぞや。