後世から見た神王国との戦争直前
神王国から発せられたと思わしき不可解な敬意は留まることを知らず、世界中が動揺していた。
それはサンストーン王国も例外ではなく、古代王権の生き残りであるアマラ、ソフィーが、敬意の源は神ではないと断言しても変わることがなかったようだ。
サンストーン王国の三公爵は、もしここで神王国に攻められると、腰が砕けてしまうのではないかと恐れた記録を残しており、危機感は相当なものだったのだろう。
だが彼らの懸念はあまりにも想定外の事態で打ち砕かれた。
アマラ、ソフィー、イザベラと共に石の王冠が姿を現したのだ。
今現在でこそエレノア教が保管していることが明確になっているものの、当時は伝説と噂が混ざり合っていたため、石の王冠が現存しているかは定かでなかった。
それ故にいきなり現れた至宝にサンストーン王国どころか、後々知った世界中もパニックを引き起こすことになるが、疑わしい敬意を打ち破るこれ以上ない武器として機能した。
残された貴族の日記や、この件の研究をしている者達によると、アマラとソフィーが不老不死だったのは、いつか現れる神敵、偽神を討伐するに相応しい者を見つけるため、神に施されたものであったとしている。
そして神々は偽神を討伐するための証として石の王冠を持ち出せと命じ、保管はエレノア神の遺言によって、エレノア教が担っていたらしい。
そしてサンストーン王国は古の神々の命に従い、神敵を討つこれ以上ない大義名分と、揺るぎない心を持つことになる。
なおこの三者にすれば、神王国は個人的にも討伐する理由がある。
アマラ、ソフィーから見ると、神王国が宣言した神に従う唯一正しき王国とは、そのまま古代アンバー王国を意味するため、これを許容することは立場上絶対に出来ない。
そしてイザベラにすると、エレノア神を否定する神王国の方針を許せるはずがなく、この三者が神王国の打倒を考えるのは当たり前の話だ。
そして近隣の諸国、特に王政同盟はごたごたで役に立たないため、神王国の偽神討伐をジェイクに依頼して、強力無比な後ろ盾を貸し出したのだ。
一方、サンストーン王国に侵攻した神王王国軍は、総勢二千名前後である。
誓って述べるが、信頼できる当時の資料を全てひっくり返しても、神王国の軍勢は二千少々という結論しか出ない。
この理由は諸説あり筆者も頭を悩ませているのだが、神王国の上層部は奇妙な敬意が全てを解決してくれると思い込み、全ての下準備を怠ったのではないか……と考えられる。恐らく。
実際、サンストーン王国以外は浮足立ったままのため、奇妙な敬意がある程度のことを解決してくれる可能性はあったが、それでも二千というのは少なすぎた。
そしてサンストーン王国は三万の軍勢を軽々と動かした。
◆
☆最終兵器投入☆
言葉通り。これに真っ向から反抗できるのはマジモンの神様だけ。超大国でも取り扱いをしくじれば普通に即死する。それが最終兵器、石の王冠である。
エレノア教が古代のレガリア、石の王冠を所持しているのではないかという噂はかなり古くから存在していたが、歴代のエレノア教教皇は明言を避けてきた。ついでに他の宗派も、ひょっとしたらマジで持ってるかもなー。なんせエレノア教だしなーとか思っていたのに、深く突っ込むことをしなかった。
と言うのもこの王権は、神々がアンバー王に授ける方式を取り続けていたため、神が去った世に出すと、これの扱いどうすんだよ、と全員が途方に暮れる代物と化していたのだ。
(求めるとしたらド級のアホだが、どうもレオ王子は欲しかったんじゃないかという伝説がある)
そのため超ド級の権威ではあるのだが、神が直接関わる事態でもない限り、機能不全を起こしている故障中の機械で、世に出しても意味のない混乱しか引き起こさない。筈だった。
ひょっとして神が再臨した? でもなんか違う……と世界が混乱している最中に、アマラ、ソフィーが神の遺言をひっさげ、イザベラが石の王冠を持ち出すと話は変わる。
アルバート教の背信者達は石の王冠にぶん殴られ、神の敵に認定された!
中々皮肉な話だろう。
妄信的に神のための国家を作り上げようとした者達は、神が遺した遺産に真っ向から否定されることになったとさ。
後世に過剰な演出で盛り上げられる場面のせいで割と勘違いされているが、ジェイクは石の王冠を被ってない。
あくまで石の王冠を大義名分として扱い、古代の王権を自分の物にしなかった。
これを後世の人間は、古代アンバー王国に敬意を示し、神々が授ける儀式を尊重したのだと解釈することが多い……。
が、どうも、世界の支配者なんていう面倒で破綻するのが分かってる仕事を誰がするか! と思っていた節がある。特に神王国は完全な破綻国家のため、彼がそう考えていても不思議ではない。
なんせ息子クラウスに王位を渡した後は、悠々自適の隠居生活を満喫し、色々と趣味に手を出して日記に残す生活を送った男なのだから。
なお彼の息子クラウスは、奇妙な違和感を感じる敬意ではなく、マジモンのスーパーカリスマを持っていたようで、しょっちゅう神の血を引いているのではないかと噂されることになる。
それがどれくらい真剣に討論されていたかというと、後にアマラ、ソフィー、イザベラがジェイクの子供を産んでも、多少の騒ぎにはなったが、いや、うちの次期王はクラウス様だよ。と国民全員が思っていたレベルだっとか。
そんな男に一族の娘が嫁いだアボット公爵の心境を答えよ。
なんならクラウスの弟妹たちも晩年、うちの兄ちゃん、私生活はのんびりしてたけど仕事中は超ヤバかったわ(意訳)。という言葉を残している。
はい。現実逃避は終わり。
問い・なんで神王国は二千ちょっとでサンストーン王国に攻め込んだんでしょうね?
一騎当千がいっぱいいるから余裕とか思ってたんじゃないっすかね。本当にこの辺りは頭が痛くなる……。
神王国とサンストーン王国の、とんでもないスキル所持者が裏で激突していた。これでいこう!
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