奴隷になった俺と主人が世界を救うまでのお話。
そる
第1話
「ここはシャンドリア。あなたがたは我々に召喚されてここにきました」
声が聞こえた。
はっと目覚めたら見知らぬ場所にいた。
巨大なアリーナのような。塵一つ見当たらないような綺麗な場所に、毛むくじゃらの怪物やテカテカした蛇のような生物が視界に入る。
みじろぎしろうとしても何故か体が動かない。金縛りでもない、何か不思議な力で拘束されているようだ。
直立の形で固められている。
どこからかまた声が聞こえた。
「あなたたちは主人とペアになって闘ってもらいます」
主人とペア?
闘う?
どういうことだ。
体が動かないため周囲を見渡すこともできない。
突然頭がくらりとして、気づいたら周囲の景色も変わっていた。
目の前にいる軽くカールしたブルネットの髪の女が白い仮面をつけている。
髪の質感からして外国人っぽい。
仮面には赤や青で細工が施されていてとても綺麗だ。
「はじめまして。わたしがあなたの主人です。服従するように」
仮面の目の部分をじっと見ると、グレーかブルーかわからない色の目をしていた。
日本人ではなさそうだ。
女が小声で言った。
「ここでは流暢に話してはいけません」
困惑していると、女が小さな手で俺の首に首輪をかけた。
突然体が震え出した。
小刻みに震え出す体を止めることもできず、へなへなと座り込む。
「こ、こは、ど、こ…」
流暢に話してはいけない。
流暢に話してはいけない。
途切れ途切れに言うと、女がにこりと笑う気配がした。
「ここは世界が集う奴隷格闘場、シャンドリア」
奴隷格闘場…
俺はそんなところに召喚されたのか。
命の危機だ。
「わたしの名前はリンシャ。リンシャ様と呼びなさい」
「リン、シャ様…」
女がまたにこりと笑ったようだった。
「あなたはわたしとペアになってわたしのためにこの格闘場を勝ち抜いてゆくのです。
あなたは非力そうなので、わたしが道具を用意してあげましょう」
道具…なんだろう。
それがあれば生き残れるのか。
改めて周囲を見渡すと、魚類か人類かわからないような生物や、全身が毛で覆われた大きな人間、博物館でしかみないような大きな獣など、初めて見るような生物ばかりだ。
簡単に言うと未確認生物のような、宇宙人のような…
リンシャはまた小さな声で言った。
「あなたからすると初めて見るものばかりでしょう。ひとつだけ約束をしてください。あなたがニンゲンだと言うことが、他の者にバレてはいけません」
「…は、い」
「詳しいことはまた後で説明します。とにかく、死なないように」
体の内側からくる震えが止まらず、俺は歯をガチガチと鳴らした。
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