第11話 ルナの味方
4人で話しているとあっという間に日が沈んでしまったが、本日はお泊まりするらしいのでロバートとマイヤはまだ遥の家にいた。
遥としても泊まりは初めてではないので特に問題はないが……
「そんなに露骨に悔しそうな顔するなって」
「仕方ないだろ。実際悔しいんだから」
現在、居間には遥とロバートしかいない。
ルナはマイヤと共にお風呂に入っているので、仕方ないのだが、なんとなくマイヤにルナを取られたような気持ちで若干悔しい遥だった。
そんな友人の姿にロバートは苦笑して言った。
「ホントにベタ惚れだな」
「まあな」
「そういえばあの子の国ってどこの国の貴族だったんだ?」
「シルベスターだよ。シルベスター王国。お前は親交はあるか?」
「あそこか……あそこはあんまりないな。そもそもあの国はかなり閉鎖的なところだから色んな内情がありそうだけど……」
その言葉に遥は顔をしかめる。
「まあ、だとしても俺はすでにあの国は見限ったから知ったことじゃないがな」
「見限ったって……もしかして魔物の討伐止めるのか?」
遥は普段、ここに住んでいるので、仕事として魔物の討伐を各隣接している国からお金を貰って引き受けているが、ここ最近、ルナのことを知ってからシルベスター周辺の魔物に関しては放置している。
無論、お金もその分貰ってないので収入が少し減るが、それでももともとかなりの額をもらっているので対して痛くはない。
それに何より……
「ルナを苦しめる国を助ける必要はない。俺は聖人じゃないからな。好きな人を苦しめる存在は排除する」
「……まあ、僕にとっては他国だから別に何も言わないけど……それで他の国の討伐も止めたりはしないでくれよな」
「ああ。シルベスター周辺だけだよ。ただ、もしルナにとって邪魔な存在になったらわからないけど」
冗談ではなそうな遥の口調にロバートは苦笑しながら遥の敵に……いや、遥を敵に回さないようにしようと密かに思った。
実際問題、遥が来てから魔物の討伐を定期的に遥が行うことで魔物よる被害や犠牲がほとんどなくなったので、もし遥が魔物の討伐をしなくなれば、遥が来る前と同じくらいに被害や犠牲が増えることは明白であった。
ここ数年の安寧は、実質遥一人が魔物を駆逐している状態なので遥を敵に回すのはかなりの痛手なのだ。
「というか、シルベスターの連中から何か言われたりしないのか?」
「ん?ああ、そもそも前の報酬の受け取りからシルベスターには
行ってないからな」
遥の住む場所は魔の森でもかなり深いところにあるので、道を少しでも間違えればぜったいにたどり着けないほどの場所なので、基本的には遥がそれぞれの国に直接報告がてら報酬の受け取りに行っているのだが、ルナが来てから遥はシルベスターには行っていない。
そもそも遥の家にたどり着くためにはとあるマジックアイテム……遥手製の魔力の宿った道具がなければいけないので、ほとんどの人は遥の家につく前に魔物に囲まれてデッドエンドは確実なのだ。
そしてそれを持つ、数少ない人物のうちの一人がロバートなのだが。
「一応聞くけど……ロバート達、アーカシア王国はこれから先、
それは友人への遠回しな問いと宣告。
ルナという遥にとって大切な存在の邪魔になるかどうかという問いに……ロバートはため息をついて言った。
「僕は第二王子だからな。なんとも言えないが……少なくとも僕らは君の力を脅威に感じてる。敵に回すような愚行はしないさ」
「そうか……ならいい。数少ない友人を消すのは流石に俺でも抵抗があるからな」
もちろん遥としてはルナに害をなす存在を放置は出来ないが、少なくとも目の前の友人はそこら辺の……遥にとって逆鱗とも言えるべき場所を土足で荒らすことはしないだろうと思い、ひとまずは安堵のため息をつく。
ロバートとしても、友人だからという理由を抜きにしても遥を敵に回したら確実に国が滅ぶと分かっているのでそんな愚行はおかさない。
それほどまでに圧倒的な力を遥は持っているのだ。
「ま、とりあえず辛気くさい話はこれくらいにしておいて別の話題でもしようか」
「別の話題?」
「そうだな……お前と彼女のだだ甘い話でもいいぞ」
冗談めかした口調でそう言うロバートに……遥は苦笑しながらそのままルナとの甘い新婚生活について語りだした。
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