第22話 純粋な殺気
『異議あり。事の判別は、もう少し事情聴取してからでも遅くは無いと、
『
ヴゥン
その『
その筆頭に、ハナマサ勇者管理省長は、ガクブルに震えて居る。
コイツ、このままだと、失禁するんじゃないか?
『……このままでは、返答を期待出来ないか』
ヒュン
しかた無く、見事な
聖なる光が消えると、ハナマサは、あからさまに
タイ公爵は真っ青な顔色で、固まって居る。
『もう一度言おう。異議あり。王には再考を
猛はスッと身を起こし、ハナマサに話し掛ける。
「おっ、王意下知に『間違い』は在りません!」
『別にハナマサ殿に即答を求めてはいない。
いちど王宮に立ち返り『聖光剣の勇者は、王に『再考』を
戦場に通る声で、
「む、むむぅ」
こんな『反論』される事態は初めてだ。
「聖光剣の勇者様!」
タキタル隊長は、ハナマサの思考が
これまた戦場に通る声で、話し掛けてくる。
『
おっと、この世界にも『腹の据わった戦士』が居たよ。
猛はこんな戦士を、嫌いでは無い。
戦いにおいては好敵手で、互いに本気で『
戦いが終われば、案外腹を割って話せるし。
「『王意下知』の巻物を切り捨てるは、ヤーディン大国に『
勇者様! セルガ様共々、
戦場に響き渡る
タキタルの主張を聞き、フェイスプレートの内側で微笑む。
『タキタル隊長。ヤーディン大国と言う名の、
(イイねぇ。後で話をしに行こう)
ハナマサはタキタルの主張を聞き、その表情に(しまった)と言う焦りの表情が出る。
ヤーディン大国の公僕として、そこはタキタル隊長の様に、
タキタル隊長は、セルガさんの保護目的もあるだろう。
理解は出来る。
しかし、ここで共に捕えられて、この災厄対策への主導権は取れるのか?
......無理だ。
まだ、自由に
セルガさんも保護し、いろいろと情報を受けて、
この
そうした後でも、いくらでも『
『しかしながら、我は納得出来ず。『大いなる力』を有する者の責任として、再考を
猛は、キッパリ拒否する。
「…… 合意に至らず…… 致し方ありませんな。『
ジャキン
タキタル隊長は愛用の大剣を素早く
(えぇ!)
(巨大魔人を一撃した相手に!?)
(…… ムリだって……)
「「「うおおおおおおお!」」」
内心はどうあれ尊敬するタキタル隊長の発令に従い、
動くな
常人が
先ほどの『聖光剣』への、
衛兵隊達は、全員がその場に凍り付いた様に、
龍神ニーグヘッズも、タケシの余りに凄まじい殺気に、
第一守護天使のワードマンも、殺気の凄まじさに、神霊体ながら身を硬くする。
カタカタカタ
カタカタカタ
衛兵隊達は
身に付けて居る鎧の金属パーツ同士が、カタカタ打ち合う音が始まってしまう。
さすがのタキタルも、キュンと
(こ、これは。『王の威圧』を、
ほんの数歩先に、手ぶらで自然体で立って居る『聖光剣の勇者』様から、
膨大で強力な、魔力でもない。
武人として鍛錬して来た者ならば、
勇者様のは、
人族ながら『
これまで散々、浴びて来たハズだったが……
こんな凄まじい殺気は、初めてだ……
「くっ……」
タキタルの強い闘争本能は、剣を上げ、勇者様に斬り込みたい。
しかし心身は、勇者様の殺気への
だんだん意識が、遠く成って行く。
武器を
ふっ、と『殺気』が、消える。
ガシャン
タキタルの右手から、愛剣が滑り落ちる。
ガシャガシャン
ドシャン
ガシャン
遂に全員が、その場にへたり込む。
ハナマサは意識を失い、床に伏している。
おや、タイ公爵だけが、フラ付きながらも立って居る。
貴族としての、プライドか?
かまわず、力が戻らないセルガさんをニーグ様から受け取り、御姫様抱っこする。
猛は少しでも早く、セルガを連れ出したかった。
セルガは、本気でこの災厄を憂いて居るのだ。
彼女を、こんな小手先の
『ワードマンさん。取り敢えず
ワードマンに向かい、小声で語り掛ける。
『そうですな…… 先ず、先程の『私の霊廟』に向かいましょう』
『おや。ワードマンさんの、
『はい、そこな……』
「『聖光剣の勇者』様! 第一守護天使様と、会話出来るのですか!?」
意識が戻ったディグリー王都神官長が、床にへばったまま、叫ぶ。
「「「えっ」」」
『聖光剣の勇者』様に、視線が集まる。
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