第14話 初魔人3「無茶苦茶だ!」
ホームランを確かめるバッターの様に、残心を取る。
上空に丸く空いた雲間から、
武良自身と手にする
その
ドッ、ガッボォーーン!
かなりな高密度の質量に吹き飛ばされ
高く中に舞っていた
ようやく頭から水面へ飛び込む。
高い水柱が立つ。
ザバザバザバ!
『ブバァ! フザケおって!』
ザバザバザバザザザザー
自然と彼の視線に、三又ピッチフォークの歯先が入る。
......歯先は一つの又間を中心に、拳を握った様に内反して曲がって居る。
実は、この三又ピッチフォークは
そうそうのパワーが加わらなければ、こんな風にひしゃげて曲がらない。
つまり、この蝶のごとく小さい新参勇者は......
『......ふん! なかなかに、ヤルではないか!......
だが!オマエの
「ほう。気付いたか。
(たぶん
そう言う『
『ぶらっくほーる? ナンダそれは?』
「あ〜、すまんが俺は、
(巨大な質量=重力と言う観点かラ、
星......と言うカ、大地の力と言う説明は如何でしょウ)
脳内アプリ
(なるほど。どちらも質量と重力が関係するしな)
「え〜、この黒い棒は、大地の力を『応用』して居る。
まぁ、御前さんは大地に殴られたと理解してもらおうか」
『......わからぬ!』
「バッサリとスルーかよ!」
『フンッ!
ザバザバザバ!
巨大魔人ギェンガーは威嚇しながら全身を、
その紅い魔力は聖湖に向かい、降り注ぐ。
(!紅い
隼が、脳内で
(地の神って......マグマか! この
そんな事態になれば教会建物はおろか都市そのものが、無限に湧き出る溶岩に呑み込まれるだろう。
「やらせん!」
フッと、
ドゴン
「ゴワッ!」
ギュルルル!
凄まじい右フックを喰らった
ドッパーン!
『ブハァ!ぐはぁ!......滅してやる!すべて消し去る!』
ザザザザザザ
ガオオオオオオオオーーーーン!!
ギェンガーは、咆哮をあげる。
「
猛が手にしている八尺棒が、ぐわっと巨大化する!
ちょうど、ギェンガーと同じ倍率だろうか?
ギェンガーが持ちやすいかもしれない大きさだ。
が、猛の両手にも、八尺棒の残像?が見える。
猛が八尺棒の残像を、棒術のにように振り回し始める。
ブォン!ブンブン!
すると猛の真上に浮かぶ巨大化八尺棒も、
猛が操る残像の八尺棒とシンクロして、
動き始める。
いや巨大な質量が、
凄まじい勢いで振り回され始めた!
ギェンガーは一瞬で冷静になり、右手を挙げる。
バチッ!
その右手に、巨大なハルバートが現れた。
漆黒で、凄まじい重量感だ。
猛は棒術の構えを取り、ニヤリと微笑む。
「
「お主......本当に勇者か?
どこぞの傭兵崩れではないのか? 戦になれすぎだ!」
猛は、苦笑いする。
「案外目利きだな。まぁ、そんなところだ」
ブォン!
巨大八尺棒の凄まじい質量を、
猛はギェンガーに叩き込む。
ドゴン!
「ぐぅ!」
ハルバートもなかなかの業物だ、しかし、
ギェンガーは、腰砕けになる。
(押し負けている!)「なんだその質量は!」
「だから、大地の力だよ(知らんけど)」
ブォンブォン、ゴゥッ!
凄まじい重量物が聖湖の水面の上空を、
ガキン!
ドゴン!
ギェンガーはハルバートを操り、何とか巨大質量の猛攻を
しかしハルバートは、見るまに歪み始めてゆく。
「無茶苦茶だ!」
ギェンガーは、思わずボヤく。
ドゴン!
「
猛は棒を叩き込みながら、苦笑する。
「ええい!」
分が悪いと思ったギェンガーは、再度紅い魔術を、
湖底に撃ち込もうとする。
火山を噴火させて、戦場の基盤をひっくり返そうとする。
最初の紅い魔術で、
「させん!」
フォトン・ソード!
猛は迷い無く、右手を高く
きらり
猛の右手に、青白く清涼に輝く
きらり
その
◯ ◯ ◯
「この...... 輝き...... いえ、
こんなに膨大な聖魔素がギュっと集約された聖剣って......」
副司祭メルダは、優しく温めてくれる
陽光の様な輝きに、思わず見とれてしまう。
「そうね...... 先程の聖魔素の炸裂弾? どころでは無い聖魔素量ですね......
巨大魔人ギェンガーの悪魔素など、少なく感じてしまいます」
ディグリーの中で、今度の勇者様は
『史上最強で、圧倒的に強い』と、確信に変わる。
「おう! これが新参勇者様の『聖剣』なのか!?
こんなにも、強く暖かい輝きは…… 初めてだ……」
ぶるっ
魔法の素養が乏しいタキタルでさえ、
何かを感じ取り、一つ震える。
◯ ◯ ◯
「おばあちゃま♪ すっごーい、キレイよ♪」
真上に現れた、強く優しい青白い輝きに、幼女は思わず輝きに手を伸ばして
「……本当だねぇ。なんて
美熟女の恐怖は、少し和らぐ。
◯ ◯ ◯
『ふわっ、ははははは! こんな小剣で、我を倒すと言うのか?。片腹痛いは!』
巨大魔人の高笑いは、公都全域に響く。
猛は、一つ肩をすくめる。
「では、
『仕方ないなぁ』と言う表情で、ニヤリと悪い笑顔をする。
ズドンッ!
『ぐはっ!』
光の双刃剣は、
巨大魔人は、少しうつむいたまま
『グフッ! ぐおおおおお! ぐああああああああ!』
突然、
『あがががががが! があああああああ! がっ!』
巨大魔人は、大きな口で絶叫し、天を
カッ
巨大魔人の両目、その鼻、口、両耳などの『全ての穴』から、
溢れんばかりの強く青い輝きが、噴き出し始める。
『あああああ~ うわああああ~ 』
情け無い声を上げながら、全身のあちこちが『破れ』、強い輝きが『破れ』から漏れ出す。
巨大魔人は、内側で輝く強い光に、内側から燃えて行く。
ズズズズズズズズズズズ
巨大魔人の鳩尾を中心に、巨大な体躯をも吸い込む、巨大な光の渦巻きが起こる。
ドドドドドドドドドドドドドドド
震度四位の地響きが、起こる。
内側からの光に燃え、崩壊し始めた巨体は、
光の渦巻きに吸い込まれて行く。
『ぐああぁあぁぁ! まさか! これ程までの……』
ファサッ
光の渦巻きが小さく消えると共に、巨大魔人も、
◯ ◯ ◯
「…… おばあちゃま。あんなにおっきな『まじん』が…… きえちゃったぉ……」
幼女は、両面を見開き、素直に驚く。
「…… す、
すっかり
「おばあちゃま♪ こんどの『ゆうしゃさま』って、
ほっんとーうぅに、おつよいのね♪」
幼女の瞳は、きらきら輝く。
「そ、そうね! 今度の勇者様って、
『本当に強い』んだね」
余りの安堵に、ポロリと涙がこぼれる。
同時に、強い『希望』が、湧いて来る。
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