第66話 一学期武術大会前

「っう……」

「ホルス様っ!」


モモティルナが倒れるホルスディンに駆け寄る。


日々成長しているエリザお嬢様にモモティルナとお喋り、遊んでいるだけで全然成長しないホルスディンが敵うわけがない。

馬鹿さ?愚かさはどんどん成長しているけど……。


今日の実技にも突っかかってきたホルスディンをエリザお嬢様が一撃で気絶させた。


「ふんっ!」

「腕があああ痛い痛い痛い折れたあああ。モモおおお治してくれえええ。」

「マット様あああ!」


モモティルナが叫び声を聞き腕があらぬ方向、反対に曲がっているマリダットに駆け寄って回復魔法をかける。

リヨンお兄様をライバル視しているマリダットも毎回学習知らずでリヨンお兄様に突っかかってくる。

今回は肘を折れたようだ。


リヨンお兄様もシーラお姉様もだけど手加減ができるようになってきたな。

最初の方は粉砕したり、骨が突き出たりしていたからな……。


「やー!」

「はっ!」

「ふん!」

「……」

「当たらないっ!」

「避けているだけじゃー終わらないよっ!」

「なぜだっ!」

「……」


「今日もやっているでござるな。」

「うむ。折れられるとわかってて挑むなんて根性あるよな。」

「記憶を忘却しているんじゃなーい?」

「アホ。」

「エリザ様はまた磨きがかかってますね!」

「一撃必殺。」

「殺してはないよー。」

「リヨンも腕しか折らないなんて成長したわね。」

「メンバーと共に訓練したおかげだね。」


「当たってよっ!」

「当たれよっ!」

「僕の攻撃を避け続けるなんて君もなかなかやるね。」

「……」


「毎回やって力の差をわからないでござるか?」

「あほ。」

「わざわざ敵の攻撃を受けるわけがないな。」

「痛いもんねー。」

「ラハートフ様達の身体強化なら逆に相手が痛むかもしれませんね。」

「そうだな……」

「経験済み?」

「……あぁ。」


「「「はぁはぁ、はぁはぁ、」」」

「……」

「「「!?」」」

「ぐはっ!」

「ごほっごほっ」

「いだいいだい」


一歩でアソトーの目の前に行き、顔を隠している髪を掴み地面に叩きつけ、手刀で髪を切る。

次にナルストラの喉を軽く握った拳で突き踞るそれの前髪を掴み切る。

ミサイトの顔を往復ビンタをする。


イケメンの顔が腫れて台無しだ。

アソトーの髪で顔を隠しおどおどしている姿がイラっとくる。

ナルストラのふさっと前髪を払うのがイラっとくる。

ミサイトのイケメンの面で睨んでいるがイラっとくる。


別におどおどしている人にイラっとくるわけじゃない。

ルシュナ嬢とか他の人には苛つかない。

睨まれることはないけどイケメンのスタルード様やタダシュ様や他の人に苛つかない。


エリザお嬢様を侮辱しているから苛つくのだからだろう。

最後に三人にピンポイントに魔力を込めた殺気を送り失禁失神させる。


「今日は折らなかったな。」

「敗けとしては今日の方が嫌でもござる。」

「恥ずかしいねー。」

「羞恥死。」

「なんで前髪を切ったんだ?」

「さぁ?」

「わからないでござる。」

「ちょっと!ラハートフ!臭いが来ないようにしてよねっ!」


三人をプチウィンドで包み場外へ出す。

三人がいた周辺をプチクリーンで綺麗にする。


「次は拙者とスタルード殿でござるな!」

「よろしくな。」


「シーラ様、手加減してくださいね。」

「大丈夫よ、アリナ。」

「だ、大丈夫じゃないので本当に手加減してください!」


「エンダース様、よろしくー。」

「あぁ、よろしく。」


次々と模擬戦が繰り返される。

授業が終わるまで相手を変え繰り返された。

マリダットとモモティルナ以外気絶していて時間を無駄にしないで授業が進められた。


「週明けから一学期武術大会が始める。万全な状態で挑めるようしっかり休日を過ごすように!」

「「「はい。(はーい。)」」」

「「「……」」」


モモティルナ、ホルスディン、逆ハーレムメンバーがいつものように睨んでいた。


ーーーーー

あとがき

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