第57話 魔法の実技

「まずは前回の復習で、初級の各魔法を使ってください。」

「「「はい。(はーい。)」」」


成績順に五人ずつ前に出て初級の各魔法を使う。

安全の為エリザお嬢様の前方以外に結界を張る。

左からファイアが飛んできて結界に当たりファイアが吸い込まれるように消える。


「わわわ、すみません!」

「『ファイア』」

「わ、わざとじゃないです!」

「『ウォーター』」


もう何度目かのわからないモモティルナの同じ言葉を吐く。

的ではなく高確率でエリザお嬢様に飛んでくるモモティルナの魔法。


最初は注意していたエリザお嬢様は無視して、初級の魔法を的に向かって放つ。

的のど真ん中に当たる。

さすがエリザお嬢様!


そして、無視していると毎回乱入してくる人物が出てくる。


「エリザ!モモが謝っているのに無視するなんて、やっぱり君は心が狭い女だ!」

「エアルリーザさん、モモティルナさんも謝っているから、許してあげて。」

「先生!」

「何ですか?ラハートフ君。」

「モモティルナ嬢と殿下の位置を交換してください!」

「そしたら、殿下に……」

「えぇ、だからこそモモティルナ嬢も殿下に当てないよう的に向かって使うよう集中するでしょう。それになんと言っても聖女ですから多少の怪我なんてどうってことないですよ。」

「あなたはっ!殿下に怪我をしろとっ?」


はあ?

エリザお嬢様は怪我してもいいとっ?


「すーはー……そんなことは起きませんよ。モモティルナ嬢は殿下に魔法を当てませんから。ね?モモティルナ嬢。」

「え?は、はい。ホルス様に絶対当てません。」

「先生、いいですよ。僕はモモを信じていますから。」

「ホルス様!」

「先生、殿下が了承しましたので、交換してください。」

「……わかりました。ホルスディン様、モモティルナさん、位置を交換して魔法を使ってください。」

「は、はい。」

「はい。」


位置を交換したことでスムーズに、とはいかなかった。

モモティルナのウォーターがなぜか殿下に向かって飛んでいき、ぶつかり濡らしてしまった。


「ほ、ホルス様っ!?す、すみません。ほほ本当にわざとじゃないです!『クリーン』」

「大丈夫だよ。怪我をしてもモモが治してくれるんだろ?」

「傷無く治します!」

「じゃあ失敗を恐れず、どんどん魔法を使って。」

「は、はい!」


「ラハートフ、何かしたの?」

「何かしたように見えましたか?」

「細い何かが見えたような……」

「エンダースで試行していたことを実行したんでしょ?」

「あぁ!あれね。」

「リヨンお兄様、シーラお姉様、気がついていたんですか?」

「僕達の目はお母さんと同じ目だからね。」

「あれを細くしたのね!私達の目を誤魔化すなんて凄いわね!」

「そうでしたね、見えるんでしたね。」


シーラお姉様とリヨンお兄様の母親、俺の養母のニルサリア母上は魔力視の魔眼持ちで子供の姉弟にもそれが引き継がれている。


細くしたのに見えたのか。

いや魔力が見えるなら糸のようになっていたら不自然に見えるか……

次から意識するように見たらすぐバレてしまうかもしれないな。


まぁ魔力視ではなくても魔眼持ちは希少だから、ほぼバレないかもしれないけど、もっと極細にするか他の方法もみつけないとな。


勘がいい人にもバレているみたいだし。

エリザお嬢様が俺をジト目で見ている。


ヤバい!

ゾクゾクするっ!

メリルさんのジト目とは違うっ!


直接触れないと使えない魔力奪取と魔力譲渡をエンダース様で内緒で試行していた。


前世の小学生の頃の糸電話の実験を思い出した。

魔力の糸で自分と相手を繋いだら使えるんじゃないかと。


糸にすること自体が難しかった。

それを長くするのも難しかった。

密かに練習していた。


義理姉弟様達にバレていたようだが……


その過程で魔力の糸に魔法を放つと糸を通り道にして魔法が誘導され飛んだ。

それをさっきモモティルナからホルスディンに魔力の糸の通り道を作り誘導したわけだ。


モモティルナの慌てっぷりは面白かった。


今度はホルスディンのあそこに当たるようにアースを誘導しようかウィンドを髪に誘導して一部バリカンをしようにするかファイアでちりちりにするかウォーターを口と鼻に突っ込ませるか迷いな……


全部するか。

どんな反応するか楽しみだな。

ふふふ……


あと先生にも誘導するか。


ーーーーー

あとがき

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