第3話 壊れた日

可愛い系美人な母さんとワイルドイケメンな父さんの両親にプラネタリウムを披露してから二年、五歳になった。


聞き分けの良い子だから村の中を一人で自由に出歩けられるようになった。

土を少し盛り上げたり凹ますプチアースという新しい魔法を知ったり、魔力量、魔法の造形、同時使用数を順調に増やしていた。

プチアースは亀や土の手の形、単純な落とし穴を作れるようになった。


昼食を済ませいつものように外で魔法を楽しんでいたら、カンカンカンと連続で鐘が何度も繰り返し鳴った。

連続の鐘は魔物の襲来を知らすもの。


興奮した。

プチウィンドを圧縮してグリフォンの形にして乗り魔物がいる方へ飛んだ。


空から村に迫る魔物達を見て多勢に無勢という言葉が浮かび、興奮なんか吹き飛んで死という恐怖にグリフォンプチウィンドの制御を失い消え、地面に落下。


下にいた村の狩人が俺に気がつき地面への衝突は回避した。

父さんに抱えられ避難場所の教会に連れていかれ、母さんに怒られ泣かれ抱きつかれた。

俺は恐怖で震えていた。

父さんが手を頭にポンと置き「~~~~~~~。」何かを言った。


時間がどのくらい経過したかわからない。

どのくらい経ったのだろうか?

外の大人達の声が聞こえなくなった。


母さん、シスター達が大丈夫、大丈夫と俺達子供達を励ましている。


バンッと音が鳴る。


シスターがゆっくりと扉を開いた。

その先に見えたのは教会を囲うように張ってある結界を叩いたり頭突きをしている多くの魔物達。


その光景を見てシスターが尻餅をつく。

恐怖が伝染、神に祈る者、泣く者、諦める者、励ます者。


バキッとひび割れる音が鳴った方を見る。

結界がひび割れている。

俺は「『プチリペア』」と魔法を唱えていた。

するとひび割れが直る。


教会内が静寂に包まれる。


魔物が結界を叩きまたバキッと、また「『プチリペア』」を使った。

結界が直る。


司祭様が一番に正気に戻る。


「結界がひび割れしたら結界にプチリペアを使いなさい!」

「組を作って交代で使いなさい!」

「結界が壊れなければ魔物は入ってきません。落ち着いて、行動しましょう。」と指示を出した。


みなに希望が生まれる。

俺は直らなかったところに重ねて魔法を使う。


日が沈み、魔物達の攻撃が少なくなっていった。

「大人達は交代で見張りを子供達は寝ましょう。」と司祭様が言う。

母さんが俺を抱き締め声を殺し泣いていた。

なぜかつられ俺も泣きいつの間にか眠っていた。


目が覚め周りを見ると教会内で周りに涙の跡を残した子供達が眠っていた。

俺も同じか……

顔をごしごしと拭いて、子供達や眠っている大人を起こさないよう立ち上がりそっと教会を出る。


薄暗い。


魔物達の結界を壊そうとする音が聞こえない。

グリフォンプチウィンドで上空に飛んで周りを見ると、魔物は俺達と同じように眠っている。


魔物。

人類の敵。分かり合えぬもの達。俺達を食べるもの達。繁殖のために犯すもの達。


ゲームでは何度も討伐したことがある。

ゲームでは何度か全滅しセーブしたところからやり直しレベル上げや装備を整え討伐した。


現実では初めて結界越しだが生きているところを見た。

殺気を向けられるなんて前世を含め今までなかった。


結界にひびが入ったときは絶望感、無意識に使ったプチリペアでひび割れが直った時に生まれた希望。


セーブなんてものはない。

死んだら終わり。


「魔物の襲来の鐘が鳴って、すぐに救援の早馬を街に送りました。」と司祭様が言っていた。


教会の屋根にある女神像の横に座る。


今更ながら魔物が教会まで来たということは父さんや狩人達が死んでしまったのだと察し泣いた。

だから母さんも泣いていたのか……。


頼れる強く優しい父親だった。

もう、あのじょりじょりして痛い頬擦りも、大きな手で乱暴に撫でられることも、ないのか……。


優しい隣の狩人のお兄さん、がははといつも大きな声で笑っていた肉屋のおっちゃん、強面だけど優しい門に立っていたおっちゃん、剣術を教えてくれた冒険者のお兄さん、「天才だわ!」と褒めてくれた魔法を教えてくた冒険者のお姉さん、他のみんなも誰一人も教会まで戻って来なかった……


「母さんを頼むな。」と父さんが俺の頭に手を置き言った最後の言葉が頭に響く。


まだ、恐怖がある。

けど、冷静になろう。


袖で涙を拭く。

ここからなら全体を見れる。


一度でも結界が壊れたら終わりだ。

ひび割れが直せそうに、間に合いそうにないところに魔法を使う。

無駄なく。


一番魔力があるのは俺だ。

ここにいる人達の生命線は俺だ。


救援が来るのは早ければ今日の昼、遅くても明日の明け方。

全滅したと思って防衛線を敷いて助けに来ないかもしれない。

だから魔物が起き破壊を始めたら、定期的に生きていると空にプチライトの閃光弾を上げることにした。


俺が母さん達を、守るんだ。


ーーーーー

あとがき

面白いじゃん、続き早く上げろ。と思ったら☆☆☆、面白いなぁと思っても☆☆☆、少しでも気になるな。と思っても☆☆☆をつけていってくださいな!

冗談です。

前から☆☆☆、☆☆、☆をつけてください!

面白くなってきたら☆を足してくださいな!

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