第3話
中学の美術の授業で、教科書から好きな絵を模写することになり、自分はフェルメールの『牛乳を注ぐ女』って絵にした。中3くらいやと、アングルの『泉』のような、女の子の裸体を描きたくなりそうやのに、自分は牛乳が好きだからか、この絵にした。模写してたら、美術の先生が嬉しそうに自分の描いてるところを見てたから、もしかして先生がこの絵、好きなのかなあって思った。
完成した絵を丸めて手に持って、帰宅したら、庭で祖父母が仲良く庭仕事をしていて、門を開けて庭を通って玄関に向かって歩いてたら、おじいちゃまが自分の手から黙ってスッと丸めてた絵を抜き取って、広げておばあちゃまと2人で一緒に仲良く顔を見合せながら笑って絵をみつめてた。しばらく2人で見てから、絵を丸めて自分の手に黙って返して、また2人仲良く庭仕事に戻って行った。上手だとか、きれいだとか、何か感想でも言ってくれたら「これはフェルメールって画家の絵を模写したやつで~」って言って説明しようと思ったのに、まあ、2人そろって仲良く見てくれただけでもええかって思って、自分の部屋に上がった。でも、絵を丸めて持って帰って来るの、わかってたみたいやなあ~って、それが不思議な感じだった...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます