第2話 このジョブなんとかなりませんか?

 自分は走った。あの邪智暴虐なジョブを除かなければならないと決意した。



 とりあえず、鑑定所を目指そう。このゲームの設定では、鑑定所で自分のジョブが複数の中から選べたはず。





➖城塞都市 ピリンキ➖



 都市の入り口は自由に出入りしていた。門番は暇そうにしている。城壁は見上げるほど高く、堅牢そうだ。中にも人で溢れている。意識をすると自分のプロフィール画面とマップ画面が青く自分の目の前に表示される。そこから鑑定所を確認した。



 ここだけ、虫眼鏡のようなマークが看板になっている。大きな建物、白い壁には多くの人がいて、一緒に冒険しようとする人を探している。あわてて入るとそこには複数の窓口があった。すいているので、すぐ自分の番になった。

 

 

「鑑定します」


女性のNPCが対応する。水晶の上に手をかざした。



「あなたのジョブは、『パントマイミスト』です。神のご加護があらんことを」



やっぱりー!!なんでー!?


「あの、変更とかできないのでしょうか。」

「転職はレベル80に達して転職することが可能です」

NPCはぶっきらぼうに答える。




隣の窓口からのプレイヤーから

「騎士と弓使いと魔法使い…こんなにたくさんあるんだ…」

と聞こえてきた。思わず、話しかけてしまった。


「すみません。ジョブって選べるんですよね…」

「??ええ、基本情報を入力した情報からランダムにジョブが出てきて、選べるはずですよ…?」

いきなり話しかけて驚いた様子だったが答えてくれた。

「ありがとうございます」




やっぱバグだ。一応運営に報告しとこうかな。どうしよう。というか、遊作宇宙なんだからもっとなんか、こうあるでしょ!主人公ぽい名前なんだから、勇者とか賢者とかあるじゃない?

 でも、もうどうせ始まったから、レベル上げでもしてみよう。




そういえば装備できるものってなんだろう。武器屋に行ってみよう。武器屋も鑑定所と同じように大きな建物があった。剣と鎧のマークだ。防具の取り扱いもあるらしい。中に入るとたくさんの窓口と武器のインテリアがある。この鉄の剣かっこいいなー。装備できるのかな。



➖➖➖➖➖➖➖➖➖


装備できません。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖


ですよねー!!

はー、窓口行こう。




窓口のNPCに話しかける。今度は体格のいい男のNPCだ。


「いらっしゃい。あんたの装備できる武器はこれだよ。」



➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖



武器  木の棒  10G 攻撃力5


防具  皮の鎧  10G 防御力5

皮の鞄  10G 防御力5



➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖




木の棒ってクソゲーかよー!!

木の剣とかだろーがよー!!




……とりあえず買った。

………泣く泣く買った。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る