第35話七夕祭り6
「どういう事!?」カレン
「どういう事ですか!?」クルリ。
2人のその踊りき納得いかない反応は嬉しいな。私の事を心配していると分かるから、ますます楽しくなる。
「なんかね、殿下の婚約者のスティングは、我儘で、気位が高くて、喚き散らす人で、ブサイクでレインの可愛さに嫉妬しているんだって」
「はあ!?」
「何ですか、その荒唐無稽な話は!?」
いいわ、2人の反応とフィーのその通りだと言う顔。
まあ、レインの可愛い顔には確かに羨ましいと思う事はある。
「いいのいいの。噂だからね。それよりも私やりたい事があるの。早くお昼食べたいから急ごう。ねあ、あれ!あれ食べようよ!」
串に、肉、玉ねぎ、肉、ピーマン、肉、トウモロコシが串に刺して、くるくる回しながら焼いていた。
いい匂い。
「スティング、何考えてるの?」
カレンが見上げるような笑いで、私を見てきた。
カレンは、と言うよりも、フィーも勘がいい。
カレンは全てを見透かしながら、自分が上に立つ威厳と威圧を、笑いで表してくる。
それと相反して、フィーは、無言ながら瞳の雰囲気がそれに変わる。
それは、帝国での教育なのだろう。少しでも隙を見せれば足元をすくわれる、それなら、相手の一挙一動を見て、先を読む。
当然だわ。だって帝国、皇子、皇女だもの。
「とりあえず、今は一つだけ。お昼食べたら動くから、見たいなら早く食べようよ」
「俺が手伝う事はないか?」
フィーの言葉にザンが鋭く睨んできた。
「ないわ。馬車で言ったのは冗談よ。私が」
王妃様を
「動かなければ意味が無いわ」
潰したいの。
「ふうん。いい顔だね。じゃあ、私はあれが食べたいから、あれも買いに行こうよ」
カレンの指差す方向を見ると、クレープだった。
「却下」
私は即答した。
「何でよ!」
「あれはデザートだから最後」
「じゃあ、あれ」
ジャガイモを揚げているのを指さした。
「私も食べたいです」
おずおずとクルリが言ってきたから、勿論よ、と言った。
そこからわいわいと皆で騒ぎなが色々食べて行った。
串焼き。
コロッケ。
揚げポテト。
アジの串焼き。
クレープ。
バナナチョコ。
正直、初めて聞く名前ばかりで、クルリが教えてくれたけど、どれも美味しかった。
こんなに何も考えなく食べるのは初めてだった。
屋敷にいた時さえも、必ず毒味をしてもらい食べていたし、ナイフやフォークを使って食べていたのに、ここでは、手で掴んで食べる。
それもできたてだ!
なんて楽しいんだろう。
こんなに沢山の庶民と一緒に過ごす事もないし、
誰も、
私を知らない。
貴族世界という、狭くて淀んだ世界では、いつも私は、
公爵令嬢であり、
殿下の婚約者だった。
それが、
ここでは、
私は、
ただの、
祭り楽しむ1人の人間。
人混みの中、肩が当たったり、押しのけられたりしたが、
すみません、
その一言と軽く頭を下げるだけで、
事が済む。
あんな、
申し訳ありません、
と深々と頭を下げ、長々と社交的な話をしなくてもいい。
私は、
本当に狭い世界しか知らなかったんだ。
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