第31話七夕祭り2

「スティング様、これです!!」

ばばん、とクルリが沢山の服をかかえて、登場した。

というかいつの間に部屋を出ていった!?

「見せてみて」

カレン!?

「これです!お出掛け様に前々から作っていたのですが、カレン様のもありますよ」

「マジで!?どれよ」

ワイワイと服を広げる中に皆が集まってきた。

「嫌よ、こんなの!丈が短いし、また、フリルがおおきくついてるじゃない!!」

形はワンビースなのだが、上は袖がシースルーで、首の所にとてもふわふわとした薄桃色の長いリボンがあり、スカート丈は膝上で、幾層にも重なった布に内側から緩いギャザーだが、布を重なる度にギャザーをより寄せ、少しうご度にふわふわと可愛く動く。

その上、内側の布は濃い桃色が外に幾度に薄くなり、ともかく、可愛いの!

「私には似合わない!!」

「何を仰いますお嬢様。宜しいですか、いつもの服でしたら、明らかに上級者貴族と直ぐに分かります。只でさえ今回はフィー皇子とカレン皇女がご一緒です。もし、襲われたらどうするのですか?それよりも、このような服の方が庶民に近い貴族とうつり、街を歩きやすくなります!」

うっ、確かに・・・。

「それに、カレン様ともお揃いで作りましたので、ご友人と遊びに来た、と周りから思われますよ。その方が大事になりません!」

うっ、確かに・・・。

「ちなみに、時間がありませんでしたので、フィー様のはありません」

「えっ!?俺のはないのか!?」

「ありません」

はっきり言うクルリと、素直に驚き残念そうなフィーに、皆が笑ってしまった。

「スティング、着替えて見せて貰えない?本当は、このような明るく可愛いのを着て欲しかったのよ。きっと似合うわ」

お母様が優しい瞳で私の肩を触り、見つめてきた。

忘れていたような感覚を思い出し、周りを見た。

お父様、お母様、お兄様、そしてフィー、カレン、ロニとクルリ。

私を見つめる瞳の中の感情が同じだった。

ここに、

私の居場所がある。

私を見つめ、

私に答えてくれる、

大事な人達。

殿下から離れて、本当に良かった。

「お母様が、そう言うなら仕方ありませんね」

「そうこなくては!では、着替えましょう!」

クルリの元気な声に一層部屋が暖かくなったような気がした。

その後着替え、身支度を整え終わる頃にはお昼になっていた。

ちなみに、カレンは、赤いガウチョパンツに、シースルーのシャツに、薄い桃色のキャミソールの格好だった。

私とお揃いで作った、と言ったように2人で並ぶと確かに親友のようだった。

あとはお揃いの、乳白色のショートブーツを履き出来上がり、と言われた。

皆が良く似合うと褒めてくれたが、やっぱり恥ずかしかった。

勿論フィーは、ずっと文句ばかり言っていた。

1人だけ仲間はずれだ!

と。

クルリが、

仕方ないですねえお金くれたら作りますよ、

とか言うから、ロニに凄い怒られてて、しゅんとなるクルリにフィーが、

幾らでも払ってやるから作ってくれ!

と、真面目に言うから、カレンが、

羨ましいでしょう、

とか言いいながら、自分の服を見せつけながら大爆笑していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る