【トトとテテ②】
「トト、なんで今日はテテの服を着てるの?それとも名札を間違えたの?」
セイラがそう言う。
「えっ?セイラはどっちがどっちか……わかるのだ?」
トトが反射的に尋ねると、セイラがわかるわよ?と首を傾げる。
「今まで、両親意外に見破られたことはなかったのだ!」
「す、すごいのだーーっ!」
「どうでもいいけど、着替えるか名札を変えるかしないと、先生に叱られるわよ?」
……トトの方が若干、実技試験が得意なので、頼もうとしていたのがバレたのだ。惜しかったのだと思いつつ、セイラの洞察力に驚いたのだ。
「はー、ネジはピカピカしてて、きれいなのだー」
「この部品のラインのカーブ……これも捨てがたい美しさなのだー」
うっとりしていると、ダフネがドン引きして言う。
「ちょ……ちょっと?大丈夫?そういえば、花壇と薬草ハウスの水やり当番したの?」
『大丈夫なのだー!』
我らは元気よく答えたのだ。なぜなら自動水やり器を設置したからなのだ!
「きゃああああ!」
ムッ!?叫び声が窓の外からきこえてきたのだ!
全員、立ち上がり、窓の外を見た。
「なんか……水柱がいくつも見えるんだけど、あんたらの仕業じゃないわよね?」
ダフネが確認するように我らに聞いた。
『知らないのだー』
「いや、絶対、知ってるだろ!?」
横にいたリヴィオがこっちを見て言った。余計なことを言わないでほしいのだ。
「……これは叱られるよね」
ジーニーがボソッと言った瞬間、我らは逃げ出した。バーンと扉を勢いよく開けて教室に入ってきたハウスを管理している先生。
『危機一髪だったのだー!』
逃げるが勝ちなのだーーーっ!
またある日は歌姫と呼ばれるニナに出会う。
「あら?あなたたちが問題児の双子ちゃん?」
『天才発明家のトトとテテなのだ』
「ふーん。私にもなにか面白いものつくりなさいよ」
「……断るのだ」
「作る気がしないのだー」
「なんでよっ!?」
「ニナの態度が好きじゃないのだ」
「ニナが気に入らないからなのだー」
歌姫はなんですってええええ!とせっかくの綺麗な顔を歪めて怒っている。そこへセイラが本を抱えて通りすがる。目の前が見えなくなりそうなくらい本を抱えている。
「あーら、学園の天才と言われるセイラ=バシュレだったかしら?」
誰?とセイラが首を傾げる。……演技?演技なのだ?まさか歌姫ニナを知らない学生がいるとは思えないのだ。
「リヴィオとジーニーが先日、悪質なファンに絡まれているところを助けてくれたのよ!」
「え?なぜ私にそんな話を?でも元気そうだし、無事だったようでなによりね」
得意げに言うニナに、セイラは表情を崩すことなく、山積みの本を落とさないように気をつけて歩いて行った。
「あなた達の学年って変人ばっかりなの?」
そうニナが言う。
………そこに我らは含まれているのであろうか?失礼なのだ!!
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