エリート神官様はわりと庶民派!?
ミラはあっという間に馴染んだ。旅館の寮でいいのよ!と言って、一部屋借りて普通の人達と一緒に、普通に過ごしていた。
屋敷の方に誘ったものの……。
「あのねぇ……私はもともとは平民なのよ。使用人たちが世話をしてくれるなんて逆に落ち着かないの。神殿の寮にもいたし、こっちのほうが楽なのよ。気にしないでね」
そう言われてしまってはどうしようもなかった。
「こんな可愛い子が!?働くんですか!?」
「学校に行ってはどうかな?」
皆はミラのことを子供と思うので、子供扱いする。
「が、学校!?失礼ねっ。私はこうみえてもエリートコースの………ま、まぁいいわ。みなさん、お気遣いなく!」
そう言われてもなぁとなんとなくミラを子供扱いしたり、優しく飴食べる?とか聞いているスタッフ達だった。気持ちはわかる。
「子供扱いされちゃうんたけど!?」
「まあ、仕方ないわ。稀に魔力の強い者は成長が止まり、そのままという人がいるけど、あまり馴染みはないもの」
プンプンしてる彼女に私は慰めるように、そう言う。
今日は早朝から私とミラとトーマスが畑にいた。真夏の畑は生命力に溢れている。キラキラと朝露のついた葉を指で弾く。
トーマスがトマトを丁寧にハサミで切りながら籠に入れた。ミラはきゅうりの棘に痛っと言っている。私は軍手をしなさいよと渡す。
「久しぶりの畑仕事だわー」
なぜかエリート神官なのに手慣れた感じで、ミラは収穫していっている。トーマスがお上手ですね~と褒めている。
「朝食を屋敷で食べていかない?朝採れのトマトやきゅうりは美味しいわよ〜」
「そうしようかなっ!」
「こういうのも美味いですよー?いかがですか?」
近くの湧き水で冷やしたトマトやきゅうりや茄子をトーマスは持ってきて、塩をつける。ミラが赤いトマトを思いっきり噛じった。
「うわー!冷えてるし、甘いし、美味しすぎるー!」
「ええーっと……エリート神官だったのよね?」
「え?あー、そうなんだけど、神官になる前は師匠と山に住んでいたのよ」
や、山!?どこぞの忍者修行みたいなんだけど!?私の驚いている様子にフフフと可笑しそうに笑うミラだった。
彼女はのびのびと夏休み中の子どものように過ごしていた。
「ちょっと魚釣りしてきまーす!」
朝から釣り竿片手にバタバタと出ていく。後から通りかかったら、湖でトトとテテと一緒に巨大魚を狙い、網を使って、四苦八苦しているのが見えた。
「いらっしゃいませー!」
売店で可愛い声がする。
「あら?お手伝い?偉いわねー」
いいえ!働いてますと胸を張っていうミラにお客さんはあらあらと微笑ましく笑っている。
「こんな可愛い子が頑張ってるし、何か買っていこうかしら」
……なんて、売店でお手伝いをしてもらっていたが、それもまた好評なのだった。
神官以外にも才能あるんじゃないかな?なんとなくそう思ってしまった私であった。
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