歌わない吟遊詩人
ゆきんこ
序章
彼が見つからない。
くすんだ緑の髪をした青年は複数の鏡の前で歯軋りした。鏡はふよふよと宙を漂っている。ついでにここには地面もない。だが、青年の体は落下することなく鏡の前に浮いていた。
彼が見つからない。青年は鏡を覗き込む。鏡には様々な風景が映っていた。森の中。街の中。何かの遺跡の中。どこにも彼はいなかった。
彼はずっと音信不通だった。だが青年はひょんなことから、彼が音信不通である理由を知った。それは青年にとって耐えられるものではなかった。
早く見つけなければいけない。止めなければいけない。
手遅れになる前に──。
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