第2話諦めが悪い教師に狼狽える

授業を終え、藤宮先生が手招きする。

藤宮先生が中腰で屈んで、教卓に頬杖をついたので手招きに応じて駆け寄る俺。

「先程はすいません。どんなペナルティを課されるんすか、藤宮先生?」

頭を下げて、謝る俺。

「今日はやけに聞き分けが良いな。なんかあったか、柳葉?言い訳くらい聞いてやろうとしたんだが……」

「なんもないっす……今日は一段と不機嫌そうなんで、言い訳すると余計に怒られそうだったんで」

「教師が生徒に理不尽なやつ当たりするかっ!まあ、その心がけはいいな。うん。徹夜したわけじゃないだろ、勉強。何が原因だ?言い訳くらい聞いてやる、話してみろ」

アナタの理不尽なやつ当たりに何度かやられたことありますよ、俺。

「良いですよ、ペナルティは逃れらんないっすから……言ってください、ペナルティを」

「はあ〜ぁ……ったく。彼女でも出来て、デート先をどこにするか。デートプランをどうしようか、ってことだろ?」

「違いますよ。俺に出来ると思ってます、彼女?」

「フッ。私を憐れんだ目で見ときながら、そんなこと……じゃあ、なんだ?」

「うっ……早く命じてくださいよ、藤宮先生。はやくぅ……」

「わぁ〜った。追及はこの辺にしとくよ、四限が終わり次第に伝達する。もう寝んなよ、柳葉〜じゃあ」

藤宮先生は追及を諦め、片手を上げてヒラヒラと振りながら、教室を出ていく。


はあ〜ぁ……


「言い訳すれば良かったじゃん、かっちゅん。あんな頑なに言わなかったの、何で?」

「わっ!おどかすなって……逃れられないのは、決まってるからだよ」

突然、隣から声を掛けられ驚き、返答した俺。

「ふぅ〜ん……まあ、いっか」

納得していないような相槌を漏らして、コクッと頷いてから笑みを浮かべた田辺陽美たなべはるみ

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