第15話 復讐の始まり。執着と欲に溺れた男③
俺は、あいつの元へ向かいながら実験をした。
一つは、人に触れたとき。
歩道を歩いているときに、サラリーマンに一瞬だが肩を軽く当ててみた。
ぶつかった時の違和感を感じて周りを見渡しているが、特に何も言うこともなくそのまま歩いて行った。
まぁ、透明な物があると認識できなければ気がつくことはできないだろうな。
二つ目は、物に触れた時
公園で子供たちが楽しそうにサッカーをしていたので、サッカーボールで実験してみる事にした。
最初は、転がってきたボールを蹴り返そうとしたが、トラウマになるといけないので遊んでいたボールを5cm程、浮かせ静止させてみた。
気づいた子供たちは、泣きながら逃げていった。
うん、蹴り返した方が良かったのかもしれない。
何もないとこで一瞬だが軽くぶつかっても透明だから認識できない。
でも、透明になった俺が触れて動かしたものは、少しだけであっても過剰に反応する。
っということなのかな?
まっ、それはそうか。簡単に言えばポルターガイストだもんな。
このスキルを使う上で、何よりも注意しなくてはいけないのは、相手の視界に入っている物に触れてはいけないってことだな。
逆に、少し触ったぐらいじゃ何も反応しない方が驚きだよな。
まぁ、微かに当たっただけだからな。流石に、分かりやすく触ったら驚くどころか失神するだろうな。
それにしても、なんて便利なスキルなんだ。
謎の声は、弱いスキルと思っていたみたいだが……この世界では最強だと思うな。
もしこれで俺が暗殺者だったら、この世界を滅ぼせる自信もある。
「ブゥブゥブゥ」
おっと、時間か。
うん、腕時計のバイブ機能だけでも十分、時間が分かるな。
それじゃあ、そこの角でスキルを解いてもう一度かけてみるか。
『
うん。代わりなく透明になったな。
これが、ザコスキルね……まぁでも、異世界なんて言ったら弱いのかもな。
鼻がいいやつには見つかると思うし、透明にしている物が燃やされたりすれば、逮捕術が使えるだけの普通の人間だもんな。
そうだな、もし何かしらの理由で見つかった時の為に準備するのも必要だな。
まぁそれは暇な時にでも考えておくか、とりあえず目的地に到着。
そこまで、月日が経っていないのに懐かしい感じがするな。
俺の前には、正義のマークを掲げた建物についた。
ここは、俺とアイツが働いていた場所だ。
え?あいつに会いにきたんじゃないかと思うだろ?
最初はそう考えていたんだが、もっと効率良くあいつを貶められる方法を思いついてね。
そして要があるのは、あいつが使っている道具だ。
「おい、OOビルの6階に数人の死体があったと通報があった。分かってるなお前ら、覚悟決めろよ……行くぞ」
「「はい!」」
懐かしいな、このヤニ臭い部屋に息がしづらい緊張感。
お、あいつ弘樹じゃないか。元気そうで何よりだな。お、福原さんは相変わらず汗ダラダラだな。
……そうか、もう俺の居場所はここにないんだよな。
それに殺人か、それは慌ただしくもなるわな。
運がいいなんて言ってはならないが、通報のおがけでここが手薄にはなった。
もっと長期戦をになると期待していたからな。
とりあえず、アイツの席に行くか。
俺は、汚れ切った机の引き出しを開けた。
相変わらず、だらしないなぁ。鍵もかけてないし、私物だらけだな。
それになんだよこれ、なんで会社に玩具持ってきてるんだよ。
俺が気づかなかっただけで、コイツはすでにクズだったんだろうな。
気づかなかったのが悔やまれる。
まぁ、今後悔しても仕方がない。
まずは、これを全て机の上に出してと……後は、あいつの装備は……おっと、これだな。
あ、無線機もあるな……
いや、これを壊すのはどうだ?かなり高い物だからな……こいつだけじゃなくて、それこそ福原さんとかに迷惑かけちゃうよな。
悩むな……あ、そうだ。
音だけ聞こえなければいいんだから……これでも入れてみるか?
よ、よし。多分大丈夫だ。
さぁ、隆二くん……まずは、お前の立場をなくしてやる。
そんなすぐには、終わらせないからな?覚悟しておけ。
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