激速勇者〜足の速さだけ強くしてたら魔王に狙われました〜

柊木緋楽

一話

 俺の名前は魔波 須日郎まは すぴろう

 誰にも超えられない足の速さを目指す男だ。

 これでも元は地球からの転生者で、今は異世界……通称ヘルランディアで過ごしている。

 転生時に女神に魔王がうんたらとか言われたが、正直もう忘れてしまったのでとりあえず日々足の筋肉を鍛えている。

 なぜ俺が足の筋肉を鍛えているかって?

 それは……あの某有名ゲームの青いハリネズミのスピードを超えてみたいと思ったからだ。

 最近は長きにわたる特訓により、徐々に腹の減り具合もコントロールできるようになってきた。

 だがしかし、やはり食料は必須である。

 なので時折町の外へ出て、適当なモンスターを自慢のスピードで狩っては、そのままその肉を食らっている。

 特訓による結果、俺の足のスピードはすでに他の人間や獣人をもとうに超越していた。

 それにより、俺が走るだけで摩擦により草木は燃え、あたりは火の海と化する。

 あまりのスピードにより町の人に怒られた為、最近は特訓の際は町の外れで走るようにしている。

 だが、そんなある日のことだった。

 一人の女が、俺の元を訪ねた。

 「魔王様より命を受けてきました。私、アリアと申します。」

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