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「じゃあ、行こう、仄ちゃん」
そう言ってベットから立ち上がった素直はその手を(まだベットの上に座ったままでいる)仄に向かって差し出した。
その手を仄はなんだかぼんやりとした顔をして見つめている。
それから仄は(まだ涙のあとが残ったままの顔で)じっと、自分のことを見つめている素直の顔を見る。
素直は笑顔。
笑った顔で、仄のことを見つめている。
それから、そっと仄は素直の手をとった。
それから、ぎゅっと、仄は素直の手を握りしめた。
……そして、もう一度、今度はもっと強く(もう二度と、この手を離したりしないというような、そんな強い思いをこめて)握りしめた。
「さあ、行こう。仄ちゃん」
と素直は(もう一度、さっきと同じ言葉を仄に)言った。
その言葉を聞いて「……うん。うん!」とにっこりと笑って仄は言った。
仄はベットから立ち上がって、素直の前にたった。
(素直のほうが仄よりも少しだけ背が高かったので、仄はちょっとだけ視線を上げて素直の顔を見ていた)
「準備はいいか。いいならもう出発するぞ」と三毛猫は言った。
その三毛猫の言葉を聞いて、素直と仄はすぐに行動を開始した。
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