モノローグ

TiLA

妹のような同級生①

「おい、スカートのファスナー開いてんぞ」


 隣の席にだけ聞こえるように

 小声でそう言うと

 真っ赤な顔で肩をバシッと叩かれた


「イテッ! なんだよ! 人が親切で教えてやったのに!」

「だって! 見たでしょ⁉︎」


 そりゃ見えるよ、チラッとだけだが

 ファスナーの奥の白いものが

 しかしそれは不可抗力と言うものだ

 見なければそもそもそんな注意をするはずもない

 なんと不条理な


 こういうときは本人が自分で気が付くか

 同性の友人が教えてあげるまで

 見て見ぬふりするべきが正解とする説もあるが


 黙ってずっと盗み見みするほうが

 はるかに悪いことではないだろうか?

 そもそも……


「他の男子に見せたくないだろうが?」

「え……?」


 そう言うとさっきとは違い

 頬だけが赤く染まった


「目の毒だしな」


 ーー バシッ!


 もう一発叩かれた


 女兄弟のいなかった俺にとって

 妹のようで可愛いと思っていた

 隣の席のクラスメイト

 もう一度顔を真っ赤にして怒っていた


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