5-11 基本4次職の解放と、ミスリルの使い方

 【重戦士】と【軽戦士】をマスターしたことで、初めての基本4次職が解放された。

 解放されたのは【ウェポンマニア】。


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【ウェポンマニア】

基本4次職

転職条件

 【重戦士】をマスターする

 【軽戦士】をマスターする

成長条件

 特になし

レベル上限:70

習得スキル

 【アイテムボックス】(1)

 【瞬間装着】(30)

 【両手持ち】(60)


○【アイテムボックス】:100種類のものを収納できる。

○【瞬間装着】:【アイテムボックス】内の指定の装備を瞬時に装着する。解除してしまうことも可能。

○【両手持ち】:両手で武器を持って攻撃する時攻撃力にボーナスが与えられる。

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 カイトの知識にも存在しないジョブだった。

 もしかしたら前世の世界のどこかにはあったかも知れないが。


 スキル自体はかなり便利で、竜の鱗装備をやめた理由がなくなってしまった。


 ルナとレナも非常に羨ましそうにしている。


 ただし、【瞬間装着】できるのは【ウェポンマニア】の【アイテムボックス】内だけのようだ。


 つまりどちらかを【スキルラーニング】しない限り、【職業体験】以外では使うことは出来ない。


 そして同時に複数の装着は出来ないようで、【スキルスロット】で使うにはあまり向かない。


 戦闘時以外で暇を見て【スキルラーニング】するべきスキルだろう。


 「うーん。早速予想もしなかったジョブが来たなぁ。」


 「まぁ予想できてたら見つけてるわよね。」


 「それもそうか。でもとにかく便利そうだ。【両手持ち】はパッシブだからまだラーニング出来ないけど。」


 「【ジェネラリスト】の便利さには流石に敵わないでしょうしね。」


 「えっへん。」

 「とっても便利。でも羨ましい。」


 「レナ達は【ジェネラリスト】の次に期待だな。流石に153職あるかも知れない4次職のスキルを全て使えるとかはないだろうけど。」


 そもそも5次職があるかも分からない。

 カイトの感覚からするとレベル70が上限というのは違和感があるので、きっとあるだろうと考えているが。


 「むぅ。カイトはずるい。」

 「職業3つはずるい。」


 「そう言われても。【職業斡旋】を習得したらとりあえず転職繰り返して【遊び人】目指してみるか?」


 「確かにその手はありかも知れないわね。セカンドジョブとかサードジョブがあれば【感応士】系統は常に就いていられるでしょうし。」


 「ん。でもとりあえずマスター。」

 「その後考える。」


 「まぁそれもそうだな。【職業斡旋】もクールタイムとかどれくらいあるかも分からない訳だし。そう思うと試すことすら難しいのか・・・。」


 1日1回ならまだしも、1ヶ月に1回であれば笑えない。


 「まぁその辺りは覚えてからだな。とりあえず今はミスリルの話をしよう。」


 『出番ー!』

 『武器!』

 『形があればー!』


 「ミスリルで作った武器の形のものが欲しいってことでいいか?」


 ちなみにカイト達がいるのはノースビーストリムの拠点。

 まず大丈夫だろうが、宿で話をして聞き耳を立てられても困るからだ。


 『そう!』

 『せーれーげき強くなるー!』

 『せーれーきにも必要ーのはず?』


 ミスリルの武器は【精霊撃】や【精霊器】に使えるようだ。


 「どんな形の武器が必要なんだ?それぞれが好きな武器か?そんなにミスリルないけど。」


 『フェルムは鞭〜!』

 『リルムは杖!』

 『アルムは〜、銃〜。』


 「銃も複雑だし、鞭なんて金属で作れなくないか?」


 『あのねー。持つところが欲しいの!』

 『杖もー!』

 『似てるだけでいいのー!』


 「鞭の持ち手部分のことか?銃も似てるだけでいいってただの筒?」


 『そう!柔らかいところは力で作る〜!』

 『カルムの剣も持つところだけー?』

 『銃はね〜。弾が入ればいいんだよ〜!』


 基本的に持ち手部分があればいいと言うことだろうか。

 カイトの頭にエネルギーで刀身などを作る武器が思い起こされた。


 「つまり、それぞれの武器の持ち手になる部分があればいいってことだな?」


 『うん〜!』

 『出来るー?』

 『銃は銃身もー!』


 「とりあえず描いて見るから可能か不可能か教えてくれ。」


 「カイト何か思いついたの?」


 「フェリアは【アイテムボックス】がないからな。少し工夫したら全武器種対応のものが作れないかなと思って。まぁミスリルが加工できなきゃだめだけど、アイデア自体はあっても損はないだろ?」


 カイトはそう話しながら絵を描いていく。


 「何これ?球に棒が4本?」


 「まぁ待ってて。可能かどうかも分からないし、ただのイメージだから。」


 カイトがイメージしているのは積み木型の噛み合わせて組み立てるブロックのおもちゃだ。


 「精霊は面白いことと、イメージがしやすいことが大事だろ?だから・・・、こんな風にパズルみたいに組み立てて形を作るやつはどうかなってな。」


 カイトが考えた部品は3種類。


 1つは半球に近い形で平面には溝が掘ってある。

 中心には円状の穴が空いていて、何かを嵌め込めるようになっている。


 もう1つはやや細めの円柱状のもの。

 その片方の端には斜方立方八面体。

 上面と下面にそれぞれ正方形があり、側面に8つの正方形。そしてそれが正方形と三角形で繋がれている立体だ。

 それぞれの正方形の面には円柱が飛び出している形だ。

 もう片方の端は少し円柱状に凹んでいる。


 そして最後の1つは四角柱を円柱状に中空にしたものだ。ただし、片方は片縁が凹んでいて、反対側は飛び出している。

 

 それぞれが2つずつ。


 「とりあえず半球のものを『発生部』、円柱状のものを『把持部』、四角柱状のものを『接続部』とでもしておこう。それでこうやって・・・。」


 そう言いながら絵を描き足していく。


 発生部2つで把持部の円柱側を挟み込んだもの。

 鞭と書かれている。


 「これは鞭の持ち手を模したものだ。把持部の握り部分は持ちやすいように刻みでも入れるか、何かを巻き付けるかするだろうけど。」


 『おーフェルムの!!』


 精霊には印象が良さそうである。


 そしてさらに描き足す。


 今度は接続部を把持部の立方体に斜めに取り付ける。


 「これは発生部はバランス悪そうだから保留だけど、銃だな。」


 『これはアルムの!はっせーぶ?はいらないよ?』


 「まぁとりあえずこんな感じってものだからな。それで次が杖だな。」


 今度は接続部を2つ繋ぐ。丁度片縁の凹凸が噛み合う形だ。

 そしてそれぞれの円柱状の中空に、把持部の立方体を真っ直ぐ接続する。

 そして把持部の一方を発生部で挟み込む。


 『すごい!杖だ!!』


 「はー。よく考えるわね。」


 「パズルみたい?」

 「便利・・・なのかな?」


 「剣はこうで、弓はこうだな。ハンマーは・・・杖と一緒だけど大丈夫なのか?」


 剣は把持部を2本繋いで、その終端に発生部。

 その発生部が左右に接続部を挟み込んで鍔としている。


 弓は発生部の上下に把持部を繋ぎ、両端の立方体に斜めに接続部を繋いで弓の形状にした。


 『すごいすごい!!たのし〜!』

 『槌も杖と同じでだいじょーぶ!』

 『かっこいー!』


 正直見た目は無骨になりそうなのだが、精霊には受け入れられたようだ。

 変形機構は思いもつかないのだろう。


 「フェリアはどうだ?まだイメージで実現できるかも分からないけど。」


 「うーん。精霊たちの喜びようを見てると嫌とは言えないわね。でも組み立てる時間とか大変じゃない?」


 「そうなんだよ。ぶっちゃけ精霊達が何とかしてくれないかって期待してるんだよ。『変形』とかで言えばやってくれたりとか。あとは強度的なものもあるだろうし。」


 「確かに強度もあるわね・・・。」


 『大丈夫〜!』

 『覚えたら出来るよー!』

 『むしろやりたい!!』


 「出来る・・・みたいね?」


 「心配はいらなさそうだな?だけど問題は・・・ミスリルをどうそこまで細かく加工するかなんだよなぁ。」


 カイトとしてはギミック武器はロマンだった。

 出来れば自動変形をしてくれると有り難いし、接続のための凹凸は無くしたいところである。


 自動変形については精霊がどうにかしてくれそうだ。


 「接続の強度とか形とかはどうなる?凹凸は有った方がいいか?」


 『んー?力で硬くするから大丈夫?』

 『でこぼこはー、無くてもいいけど有った方がいい?』

 『分かればだいじょーぶー!』


 「それならあとは加工方法だな。」


 『カイトはあれできないのー?』

 『ぐねぐねー、作ってー、いれかえー!』

 『たしかースキル?』


 「ぐねぐねするスキル?今のところそんなスキルは知らないなぁ。もっと何か情報はないか?」


 『んっとねー、魔法の粘土ー!』

 『こねこねするの!』

 『色んなの作れる!』


 「粘土?こねこね?粘土なら色々作れるだろうけど・・・。どんなスキルなんだ?それともジョブ?」


 『ジョブだよー!』

 『たしか〜、とーげーか?』

 『いっぱいこねこねで楽しいの!』

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