ちゃんとしてよ!勇者様

花和田 鬼小太

俺は、超常現象とは無縁である。

「エイリアンの意味が分かりますか?」


別の地域の人と言う意味が元々あり、その存在が自分のテリトリーに侵入するつまり侵略することで強力にエイリアンと認知される。そうなると世界はエイリアンだらけになる。今のヨーロッパの戦争もエイリアンの仕業なのだ。


RPGオンラインゲームのクエスト『ゴブリンの侵攻』イベントに即席パーティーで挑んでいた時、ふと世界史の授業で教師が言っていた話を思い出した。


「コイツらもエイリアンか…」


『questclear!』


30分ほどのゴブリン達との戦いを終え。デスクトップPCの液晶ディスプレイに映された金色の文字を見ながら呟いた。


「ふぁぁあぁあぁ…」


ワンルームの、年中閉めっぱなしのカーテンの隙間から日の光がベランダ越しの硝子扉から反射し、室内の白い壁に投影されている。


ゴールデンウィークはネットで過ごす…流石に3日連続徹夜はやり過ぎたか…


目が急に重く成ってくる。ぱさぱさになった唇を開き。500ミリペットボトルの緩んだ蓋を回し、軟水を喉に流し込む。


「ぺッとで寝なきゃ…」


久しぶりに声帯を使った。脳内の会話をし過ぎて生まれたての小鹿みたいなおぼつかない日本語。


身体をよじり、椅子を回転させ立ち上がろうとした瞬間。身体が急激に重くなり、脳からの信号を手足がまるで電気配線を間違えて逆送してしまったように受け付けない。


(これは…金縛りと言うやつなのでは!?)


初めての体験に怖さとわくわく感が入り交じる。 しかしもう朝だし…まさか何か霊的なものを目する事などないだろう。奴らが推参するのは、丑三つ時と相場が決まっている。霊なんてやっているのだ。早朝出勤する健康的な連中でもあるまい。それに俺には霊感なぞない。まさかな…


「たすけ…」


「た…けて…」


声が微かに…


(あはっあはははは!)


残念。大丈夫俺は冷静だ。追加データの更新中で電源をオフってなかったスマホだろう。アプリゲームから声優のキャラの声が鳴っているのだ前にもあったから、今は全然驚かない。


タネがばれていれば、何の事もない。身体が石化なのも、脳が半覚醒状態なのだろう。ほら何も起こらない現れない。


(怖くな…)


その言葉を心の中で言うや否や、目映い青白い光の焔が周りの空間をよじりながら出現する


(うあっつ!!熱っ熱いぃ!!!)


身体に焔が纏い昔理科の授業で行ったマグネシウムの燃焼実験のように白く激しく輝きだした。


(俺、焼け死ぬ!?)






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