【1段階 - 2,3】40kmおっぱい問題
この日は2時限連続で教習を受けた。
尚、天気は余裕の雨模様。実質初乗車とも言える日に悪天候になるとは、神様もなかなか厳しい試練を与えてくれるではないか。
でも良かろう。雨ニモマケズ、風ニモマケズ。じめじめ湿った陰キャの底力を見せてやる!!
「ほらブレーキ離して。エンストしちゃうから」
ねえちょっと待って。いきなりエンジン掛けて外周走り出すなんて聞いてないよ? まだ発進すら教わってないんだけど……。
どうやら教官は発進と停止の課題は既に済ませてあると思っていたらしい。カーブに差し掛かったら2速にしてねー、とか言ってるけど待って待って。私まだバイク動かした事無いんですけど……。
それともあれかな。発進くらい気合いで何とかしろというスパルタ的教習なのかな。ならば仕方無い。どうせ自動車と同じ要領でやれば良いし平気でしょ、と思ってクラッチを繋いだらエンスト。
色々パニクっててブレーキレバーが握りっぱなしだった。うん、やっぱりクラッチを繋ぐ発進から練習させてください、先生。原付すら乗った事が無い私にはバイクの感覚が全く分かりません。
ちなみに後から分かったのだが、通常だと初日にバイクに跨って動かすぐらいは行っているらしい。
では何故私はお預けされたのか。理由は分からないが、前回の教習が始まってすぐに「今日はバイク動かせないんだ。ごめんね〜」と言われていたので、いわゆる大人の事情があったのだろう。決して私がドン臭かったから――では無いと信じたい。
話を戻して。
いきなりエンストした私を見て(うわコイツやべぇ)と察したであろう教官は、タンデムシート(運転者の後ろの席)に座るよう指示。これまた初体験。
ぬるっと加速した瞬間に恐怖感が込み上げてきたが、相手はプロだから大丈夫と思えば割とすぐに慣れた。走りながらギアチェンジの方法とコツを教えてくれた。ふむふむなるほど。
そして自分で動かす番が来る。
ブレーキを離してからクラッチレバーも徐々に離していくと……動いた。やったよ、私バイク動かせたよ!
それからアクセルを使わずに元々のエンジンパワーのみで発進と停止の練習。止まる時に最初は右足を着いてしまいがちで(交通の流れ的に左足を着かないと危ない)教官となんでだろうね、と悩んだが、ブレーキを意識し過ぎて右半身に体重を掛けていた事が判明。力を抜いてやればすぐに左側に傾いて止まることができた。さすが教官。
何回かやって慣れてきたので、今度は外周に出てギアチェンジの練習。チェンジペダルが固くて思うように動かせない時があったが、教官曰く「慣れだよ慣れ」との事。うん、知ってた。
教官の後ろをつきながら数周回ると、次は「もっと、加速! 40kmまで上げてみよう」と言ってきた。うへぇマジか。時速40kmって公道だと大した事ないんだけど、教習所内だと異様に速く感じるのよね。怖いけどやれと言うのならやりますよ。
ブォォォォン!
ヒュイイイン!
ヒョエエエエ!
風と雨が顔にすごく当たるー!!!(小並感)
ジェットコースターに乗ってるみたいで結構怖いが爽快感はあった。
そういえば、時速40kmで走ってる車の窓から手を出すとおっぱいと同じ感触を楽しめるとどこかで聞いたことがあるが、もしかしてバイクにも同じ事が言えるのではないか。
つまり、ヘルメットのフェイスシールドさえ外せば顔全体におっぱいを感じる事ができる。
例えば複数人のライダーがまとまって40kmで走っていたら、全員がおっぱいに顔を
……なんてクソくだらない話は置いといて。
うわぁぁぁ加速しゅごぃぃぃ、とかエンジン唸るぜぇぇぇとかギャーギャー騒いでたらあっという間に終わった。勤務中暇な時とか定型的な打ち合わせをしてる時はすごく長く感じるのに、集中していれば1時間なんてすぐ過ぎる。それだけに、運転技術がしっかり身に付いていけるのか不安になった。
◆
校内を雨粒が降り注ぐ中、続いての教習。
今度はスムーズな加速減速とギアチェンジをする課題となった。特に新しい事を学ぶ訳ではなく、前回の練習をより実践的に取り組む形のようだ。
まずは教官と外周を回りながら基礎的な走行ができているかチェック。特に指摘される事はなく「そのまま外周走っててね〜」と教官が言ってそのまま他の生徒のフォローに行ってしまった。そして、結論から言うとこの1時間はほとんど放置プレイ。陰キャライダーのソロタイムとなった。
しかし、のびのびと自由に走れる訳でも無かった。
走行コースは普通車と共有している為、ギアを変えて気持ちよく加速すればすぐに前方の車に追いついてしまう。特に、校内を走る仮免許前の車は超極ウルトラゆっくりなスピードなので、1速の半クラ状態で丁度良いくらいだ。正直歩いた方が速い。低速だとバイクはよろけるので、時々足を着いたり踏ん張ったりした。お陰で足腰の疲労感が半端無かった。
ただ、普通車を悪く言うつもりは全く無い。むしろ、自分が免許を取った時を思い出して微笑ましい気持ちになった。
ある時、私の前を走る車がカーブに差し掛かる手前で止まった。テールランプは消えている。これはあれだ、エンストでございますね。私もよくやらかして教官から冷めた目で見られましたよ。
大丈夫。私はいくらでも待つから落ち着いてゆっくりエンジンを掛けて――よし、次はクラッチを切ってアクセル吹かして……ブォォォォン! おお、吹かしすぎ。
なんて教官になったつもりで前の車を実況してみる。
そういえば、私はバイク教習でほとんどエンストをしていない(気がする)
7年前とはいえ感覚は蘇るのだろうか、当時エンストしまくって教官に怒られながら学んだお陰で、停止時はクラッチを切ることが癖になっていたようだ。まさかスポーツカーに乗らずバイク教習で役に立つとは思わなかったが。
しかし、エンストの代わりに転倒はよくやらかしている。既に3、4回はガッシャーンと押し倒しているせいで青色ボディのスーフォア君も赤面――ではなく、私の体が傷で赤く染まってしまいそうになる。
果たしてこんな状態で免許なんて取れるのか。とにかくバイクは重いし、1時間乗るだけで全身ヘロヘロになるし自動車とは全然違う。もはやこれは立派なスポーツである。運動神経(特に筋力)が壊滅的に終わってる私に
P.S.
どうでもいいが、窓から手を出しておっぱいを楽しめる車の速度は40kmじゃなくて60kmだったかもしれない。
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