第二十四話 ダンジョン攻略!

 五十階層――


「やっと到着したか」


「ええ。それにしても、十五日でここまで来れるのは予想外だったわ。あともう二日はかかると思ってた」


「それでも早い方だけどね」


「俺達の連係力を見せてやるよ」


「頑張るか」


「全力を出すだけだ」


 俺達は五十階層のフロアボスがいる部屋の前でそれぞれの気持ちを口にした。


「行くか」


「ええ」


「そうね」


「やってやる」


「負けないよ」


「勝つか」


 俺達は気合を入れると扉を開け、中に入った。


「グルルルゥ」


 部屋の中央にいたのは水晶のような鱗を持つドラゴンだった。俺はそのドラゴンに〈鑑定〉を使った。


 ー--------------

 名前 クリスタルドラゴン LV.90

 体力 23100/23100

 魔力 21800/21800

 攻撃 18100

 防護 23300

 俊敏性 13200

 弱点

 ・炎

 スキル

 ・回復速度上昇LV.MAX

 魔法

 ・水属性

 水晶の鱗を持つ上位のドラゴン

 ー--------------

「随分と耐久力の高いドラゴンだな」


 俺はこいつのステータスを見て、そう呟いた。


「そうね……て、来るわ! 攻撃に備えて!」


 フェリルがそう叫んだ瞬間、クリスタルドラゴンが突進してきた。


「〈結界シールド〉!」


 俺は咄嗟に〈結界シールド〉を展開してクリスタルドラゴンの突進を止めた。


「ナイス、ユート。行くよ」


 その隙に前衛の四人がクリスタルドラゴンに攻撃をしかけた。


 キン! キン! キン! キン!


 クリスタルドラゴンの硬い鱗が次々と剥がれ落ちていく。

 連係力がここに来るまでの間にかなり上昇したお陰で、以前よりも効率的にダメージを与えられている。


「ガアアアァ!」


 すると、ここでクリスタルドラゴンが口から〈氷之龍息吹ドラゴンブレス〉を放った。


「避けろ!」


 前衛の四人は瞬時にその攻撃範囲を見切ると、回避した。


「ガアアア!」


 クリスタルドラゴンは咆哮を上げると、上へ飛んだ。そして、上から〈氷槍アイスランス〉を雨のように落として攻撃してきた。


「行くわ! 〈暴風竜巻テンペスト〉!」


 フェリル様がここで大技を使い、氷の槍を全て弾き飛ばした。

 更に、クリスタルドラゴンにも少なくないダメージを与えている。


「行くぞ! 〈炎之龍息吹ドラゴンブレス〉!」


 俺はそこにとどめの一撃を与えた。


「ガアアア!」


 クリスタルドラゴンは激しい断末魔と共に消滅した。


「ドロップ品は……あ、今回は爪と牙をいくつかドロップしたわね」


「そして、金塊が少々か。悪くないんじゃないか?」


 みんなはクリスタルドラゴンのドロップ品を確認すると、それらを全て俺に預けた。


「それでは、ダンジョンの外に出ましょう」


 俺達はクリスタルドラゴンを倒したことで、部屋の中央に出現した魔法陣の上に乗った。

 その直後、魔法陣が光り輝いた。


「……ここは……入り口のすぐ近くかな?」


 俺達はダンジョン内の出入口の前に転移した。その後、俺達はそのままダンジョンの外に出た。


「あ~十五日ぶりの太陽だ~」


「ダンジョンに長時間いると、太陽のありがたみがよく分かるわ」


 俺達は十五日ぶりの太陽の光をスッキリした顔で受けていた。


「それじゃ、荷物を返すぞー」


 俺は〈アイテムボックス〉からみんなの荷物を取り出すと、地面に置いた。


「それで、ドロップ品はどのように分配する?」


 普通はそのドロップ品を落とした魔物の討伐に一番貢献した人がもらえることになっている。だが、俺達はドロップ品を片っ端から〈アイテムボックス〉に入れてきたせいで、一番の貢献者が誰かなんて分からない。


「う~ん……全部ユートが貰っちゃっていいんじゃない?」


「ああ。俺達は元々金に困ってはいなかった。そこに勇者パーティーの報酬金が加われば、一生遊んで暮らすことも出来るからな」


「ああ。ここは人生がめっちゃ長いユートが持つべきだ」


 何かよく分からないが、俺はみんなに押し付けられるような形でドロップ品を全て貰うことになった。

 まあ、何で俺にくれたのかは薄々気づいているよ。

 だって、ドロップ品の七割が、持ち運びしにくい&高く売れない鉄装備なんだから。


「まあ……ありがとう」


 俺は苦笑いをしながら礼を言った。


「では、五日後にまた会いましょう」


「ああ」


 こうして俺たちはそれぞれの帰路についた。

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