異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

第二十話 家族と夕食

「ただいま！」

　エルフの里に転移した俺は、そのままみんながいる屋敷の中に入った。

「お、ユートか。転移で帰ってきたのか」

　屋敷に入ると、トリエストさんが出迎えてくれた。

「はい。今日はこっちで夕食を食べたい気分だったので」

「そうか。夕食の準備が出来るまで、クリスとノアの所にいてやってくれ」

「もとよりそのつもりですよ」

　俺は笑顔でそう言うと、二階の部屋に向かった。

「クリス、ノア。ただいま」

「ユート。帰ってきたのね」

「あ、パパ！　おかえりなさい！」

　部屋に入ると、二人が出迎えてくれた。そして、ノアは俺の元に駆け寄ると、俺の腰に抱き着いた。

　仕事を終えて家に帰ってきたお父さんが、妻と子供を見て喜ぶ理由身に染みて分かる。

「それで、ダンジョンはどうだった？」

「そうだな……六階層まで攻略したんだが、出てくる魔物は全て手ごたえのない奴だったな。魔法一発で吹き飛ばして終わりだよ」

　俺はノアを抱っこすると、そう言った。

「流石ね。みんなもユートの強さにビビったんじゃない？」

「まあな。ただ、偽装したステータスを見せたこともあってか、直ぐに冷静になったよ」

　俺はそう言うと、ノアを膝に乗せた状態で、椅子に座った。

「パパ凄いね。でも、ノアだって頑張ったんだよ。ほら！」

　ノアは俺にステータスを見せてくれた。

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　名前　ノア　人族　LV.48

　体力　3400/3400

　魔力 5200/5200

　攻撃 3100

　防御力 2700

　俊敏性 3100

　スキル

　・身体強化LV.2

　魔法

　・風属性

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「お、頑張ったな」

　俺はノアの頭を優しく撫でた。

「ノアちゃん頑張ってたよ。私に戦い方を教わりに来た時は本当に驚いちゃったわ」

「ノアがそんなことを言ったのか……」

　ノアが強くなろうと頑張っていることに、俺は内心喜んでいた。

「ノア、頑張るんだぞ」

　俺は再びノアの頭を優しく撫でた。

「ふふっ　それじゃ、そろそろ夕食だと思うから、下に行きましょ」

「そうだな。よっと」

　俺はノアを抱きかかえると、クリスと共に部屋を出て、そのまま下に下りた。

「あ、ユート君、クリス、ノアちゃん。ご飯の準備は出来てるわよ」

　下に下りた時、クリスの母、エルザさんは夕食の準備をちょうど終わらせたところだった。

「美味しそうだな」

　今日の夕食はこの近くにある湖で捕れた魚が乗っている海鮮丼と山菜スープだ。

「あ、ユート。来てたんだ」

「元気そうだな」

　階段から、残りのクリスの家族が集まってきた。

「みんな集まってきたところだし、食べるか」

　俺達は椅子に座ると、夕食を食べ始めた。

「なあ、今回の勇者パーティーのメンバーはどんな感じだ？」

　ふと、レインが訊ねてきた。

「もぐもぐ……そうですね……仲がいいって感じですね。みんなで軽口を叩いて、笑いあえるような雰囲気です」

「それはいいことね。前回なんて、仲間割れをしていたのよ。私が怒鳴り込んでやろうかと思ったわ。

　マリアは愚痴を言うような口調でそう言った。

「俺の場合は色々と隠さないといけないことが多くて、たいへんだ。しかも、俺って顔に出やすいせいなのか、話せば話すほどボロが出てしまうんですよね……」

　俺はため息をつくと、そう言った。

「その様子なら、重要な秘密はばれないようにしているだろう。まぁ……魔王討伐まで頑張ってくれ」

「分かりました。頑張ります」

　俺はドーラさんの言葉に頷いた。

「美味しかったです。数日後にはまた来るので！」

「行ってらっしゃい！」

「頑張って！」

　みんなに見送られながら、俺はテントの中に転移した。