第二十九話 神の涙の襲撃
「おい!そこで何をしている!」
と、俺が叫んでから十秒ほど経ってから五人の人間が森から姿を現した。全員黒装束で、三人は両手に短剣を、二人は右手に杖を持っていた。
「まさか気配隠蔽の魔道具が意味をなさないとはな……」
その中の一人がそう呟いた。
(スキルじゃなくて魔道具で気配を隠してたのか…)
確かに気配は全く感じなかった。まあ、それでも音まで隠すことは出来なかったようが…
それはともかくこいつらの正体はもう予想ついている。
「お前ら…神の涙の連中だな」
俺は確信めいた声で言い放った。
「その通りだ。まあ、これ以上の問答は無用。さっさと殺す」
会話は強引に打ち切られ、短剣を持った男三人が一瞬で俺の周りを囲んだ。その背後では女二人が魔法の詠唱をしている。
(こいつら…昨日のやつより強いな…)
ただ、幸いなことに今俺がいるのは道から少しそれた所にある草原であり、昨日のように路地裏というわけでもないので周りを気にする必要がない。だから思う存分魔法が使える。
(やるか…)
俺は覚悟を決めると〈アイテムボックス〉からミスリルの剣を取り出すと、追加で〈剣術〉、〈
「ぐはっ」
まずは一人。男は胴を両断されて息絶えた。
そのまま他のやつらも倒そうとしたが、
「〈
その言葉と共に背後から氷の槍がいくつか飛んできた。
「ちっ〈
目の前に〈
防ぎ切ったことに一瞬安堵していたら、目の前に短剣を持った男がいた。
「まじかよっ」
俺は素早く後ろへ跳び退り、回避した。あと少し遅れてたら首を切られていただう。
それにしてもいい連係だ。魔法で俺の意識を向けて、そのすきに近づく。シンプルだが、このタイミングの絶妙さは戦闘のプロって感じがした。
「ここからはこっちの番だ。〈
目の前から飛んだたくさんの〈
三人にも当たるだろうと思っていたが、そう上手くいくはずもなく、魔法師の一人が使った〈
その隙にもう一人の魔法師が詠唱を終え、
「〈
さっきよりも数が多い。更に、〈
(これじゃ〈
ただ、この場にいたら〈
「!?な…」
〈
「ちっ…うぐっ」
男は短剣でガードしたり、それでもよけられないのは回避したが、それでも腕と足に二本ずつ刺さっていた。この隙を逃すわけもなく、俺は〈
「くっそう…」
男は悔しそうにしていたが、俺は問答無用で首を切り落とした。これで三人。
何となくだが戦う前の会話と強さから察するにこいつがこの集団のリーダーだと思う。
残りの魔法師を倒すために前を向くと、前方から〈
「なっ!?〈
俺は咄嗟に〈
「ぐっ」
右腕と足にそれぞれ〈
「いってぇ…〈
何気に初めて〈
(それにしても今のくらってひびで済むって結構凄いな…)
魔法の威力から見るに多分前の世界だったら腕と足の両方がなくなっていただろう。そう考えると今のステータスはかなり高いと思えてくる。
まあ、俺に怪我を負わせたんだ。こちらもやり返すとしよう。まあ、向こうは既に三人も仲間が殺されているのでやり返すという言い方は少し違う気もするが…
「おかえしだ!〈
俺はおかえしを撃つと、それを盾にしながら近づいた。戦法を知らない俺にとって、敵の戦法はマネするだけでも大幅に強くなれる。
「〈
「〈
二人は魔法を使ったが、さっきよりも強度、数がそれぞれ足りない。恐らく魔力がなくなりかけているのだろう。俺は飛んでくる〈
「はぁ!」
二人が隠れている〈
「おい。お前たちは何が目的で動いている?」
と、訊ねた。
「………」
二人は黙ったまま下を向いた。すると、いきなり二人とも地面に横たわった。
「なっ……」
よく見ると、口と眼から血が出ている。
「じ、自殺だと……」
恐らく情報を漏らさない為の自殺だろう。ただ、そんなことを実行するやつがいるなんて思いもしなかった。
「…仕方ないか…」
俺は五人の死体を〈
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