第2話 RPG風オリエンテーリング初級①

 俺達は、参加費一人300円を払って地図とコンパスを借り、タブレットを一台保証料込みで3500円払って借りた。タブレットを返却したら3000円戻ってくるので、まあそんなもんかな。


 俺がタブレットを使い、他の2人は自分の携帯を使う。通信料は大丈夫らしい。


 バーベキューの道具は自分達の場所まで運んだが、テント設営とかキャンプの準備は時間がかかるので後回しにした。


 携帯の2人はアプリをダウンロードし、アバターを作り、準備はオッケーだ。

 俺、大聖のアバターの名前は〔ヒジリ〕

 アユタは〔アピュタ〕

 佑は〔タスク〕


 今はもう7月の終わりで、とても暑いが、山キャンということで、ちゃんと長袖に長パンも用意してたから服装も着替えてバッチリ。

 薄手でサラサラした生地だけどやっぱり暑いのは暑いが。


 スタート地点のQRコードを読み込み、スタートボタンを押す。すると、タイムトライアルの時計が動き出す。


 コンパスと地図を使って進む方向を確認したらダッシュする。

 他に参加してる人がいないみたいなので、走っても迷惑にもならない。


 2分程で1番目のポストに着いた。

 ポストのQRコードを読み込んだら、敵の出現。

 え?ってズッコケるくらいの可愛い動物のキャラクター。

 「モグラか。」

 なんか、ショボい予感…。


『プレイヤーの攻撃

 

 問題:東から登って、西に沈むものは?』


 選択肢から選ぶ。


『①地球 ②大陽 ③太陽 ④大腸』


もちろん③を選ぶ。


『ヒジリの勝利!

 敵をやっつけた!

 ヒジリは〝知恵の本書〟と100コインを手に入れた』


 他の2人も同じだった。


「なんかさ、マジで小学生レベル?」と俺。

「ま、1番最初だし、こんなもんだろ。」とアユタ。

「難しいと小さい子が楽しめないから。」と佑。


 なんか、ネットで知って想像してたのと違うが…


「コレはこれで!

 俺らの精神年齢下げたら楽しいだろ!」と佑。


「まあ、RPGだしな!」

 皆、期待値を下げて、楽しむことにした。


 「あ!あれ、何だ?」

 アユタが“いかにも”っていう看板を見つけた。


 宝箱の看板がある。


 タブレットをかざして『開ける』を押す。

 『100コインゲット』


 もう一度やってみたら、

 『中は空っぽだ』に変わった。


 またコンパスと地図で行き先を確認し、次のポストを目指した。


 俺達は走るのをやめて、早歩きにした。走ると看板を見落とすかもしれないからだ。


 2番目のポストに着いた。


 次の敵キャラはウサギ。


『プレイヤーの攻撃


 問題:上から読んでも下から読んでも、同じ。毎朝家に届けてくれる、読むと賢くなるものは?


①トマト ②新聞紙 ③昨日の木 ④ダンのおじさんサジをんだ』


 そりゃ②だろ。


『ヒジリは“薬草”と100コインを手に入れた』


 他の2人も同じ。


俺:「誰か④選べよ。ダンのおじさん、毎朝来るだろ。」

アユタ:「来ねーわ。お前が選べ(笑)。」

佑:「サジ呑むって、マジシャンか。」

俺:「狙ってんな。」

アユタ:「だな。」


 また次へ向かう。


 途中に看板がある。今度は壺の絵だ。

読み込んで『のぞく』を押す。


『ヒジリは壺を落とした

 ヒジリは100コインで弁償した』


 俺:「あー!俺、コイン減った!お前は?」

 アユタ:「俺、100コインゲット。」

 佑:「俺もゲットだよ。」


 俺:「俺、壺割って弁償だって。くそー。」


 もう一度やってみる。


『何も起こらない』だった。


 次は3つ目のポスト。

 敵キャラはキツネ。


『問題:パンはパンでも食べられないパンは?


①食パン ②アンパンマン ③フライパン ④お母さんが初めて焼いた手作りパン』


 アユタ:「うわ!ムズっ!引っかけキタ!②か?」

 俺:「いや、アンパンマンは自分の顔を皆に食べさせてるぞ。」

 佑:「これ④選んだら母ちゃん泣くな。」

 俺:「ちょっと悪意のある選択肢だな。」

 アユタ:「いや。きっと有難すぎて食べられないっていう意味だよ。」


 ここは③だ。


 皆③を選択する。やはり母さんをディスれないと思った…のだろう、多分。


『ヒジリは“ペーパーナイフ”と100コインを手に入れた』


 俺:「ペーパーナイフって…戦えねー。」

 佑:「俺、サバイバルナイフ。」

 アユタ:「俺なんて、まな板だよ。何に使うんだ?」

 佑:「ま、この感じならアイテム必要ないっしょ。」


 次へ向かう途中にあった看板は、大きくて分かりやすいペットボトルの絵だった。“ゲットして”と書いてある。


『飲み水をゲットした。プレイヤーの皆さんは水分補給をしてください。』

 これは全員同じだ。


「ここで水分補給しろって。優しいな。」と佑。

 皆ちゃんと持ってきたお茶や水を飲んだ。

 ちょっと休憩して次へ進む。

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