第51話次の日のお昼の部室では

【次の日のお昼の部室では】


 

  最近の栞は、俺の部屋にあるラノベを読むようになってから、自分でもラノベを倍って、気分転換に読むそうだ。


  俺自身、中学生時代は成績が足りなくてラノベを読むなんて余裕はなかったけれど、高校に入って体育祭や夏の宿泊旅行で一緒になったアニオタ4人組に色々教えてもらってから、通学の時間や勉強の息抜き程度に読んでいる。

忍はこういうのにはまったく興味がなかったみたいだけど、俺が高校1年の時の騒動で俺の家に忍の部屋ができた時から、俺の部屋に居座るようになった時、最初はスマホをいじっていたが、俺と栞がラノベの話をするとき、自分も仲間に入りたいらしく俺の本棚のラノベを読むようになってから自分でも時々買うようになった。

  家に帰って、いつものように栞の部屋で2人で何かやっているようだけど、俺は今日買ったラノベを読んでいると、しばらくして2人が俺の部屋に、いつものように3人で、いや2人でじゃれあってから、2人が俺に絡んできて、それが最近の俺の、居心地の良い日常。


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 次の日お昼、部室で、俺は早く弁当を食べて塾の予習をしたいので、もくもくと弁当を食べていたが、新木さんが斎藤さんに向かって、昨日の事について色々質問をしているのが聞こえた。

「斎藤先輩」

「何?」

「あの、忍さんと栞さんの事なんですけど」

「忍さんって、もう仲良しになったの? 栞ちゃんにも会ったの?」

「はい、昨日、高木先輩と忍さんと一緒に長野に行ったじゃないですか」

「うん」

「改札の出口で、栞さんに会ったんです」

「そうなんだ」

「はい、待ち合わせしていたらしくって、それで一緒にブロードウェイの本屋さんでラノベやコミックを買って、それからカフェでお話したんですけでど、それで色々聞いているうちに、忍さんと栞さんとお友達になったんです」

  新木さんと斎藤さんが話をしているのを興味深く見ていた萩原君も聞いている

「そっかー、学校以外のお友達ができるのも良い事だよねー 」

「萩原先輩も栞さんとお友達なんですか?」

「まあ、友達というか、大きな借りができたというか、助けてもらったっていうか、そんな人だよ」

「へ~、そうなんですね」

「ああ」そう言って斎藤さんの方を見ると斎藤さんも

「そうね、栞ちゃんには、足を向けて眠れないくらいの恩人よね」

「そうなんですね、あの~、1つ聞いても良いですか?」

「何」

「昨日、忍さんと栞さんの話を聞いていて色々疑問が沸いたというか、斎藤先輩の事なんですけど、萩原先輩は本当に斎藤先輩の恋人なんですか?」

 それを聞いた萩原君が思わず、口に含んでいたご飯を噴き出してしまった

「ちょっとしんちゃん、何やってるの」

 齋藤さんがハンカチで萩原君の口の周りを拭いているので、俺も弁当を食べるのをやめて、掃除用具箱の中から掃除用具を出し、バケツを持って水を汲みに部室を出るところ

「高木君、ごめんね」

「気にしなくて良いよ」

「高木君、すまない」

「いや、いいから」

「ありがとう」

 部室では、新木さんが斎藤sあんと萩原君にさっきの話を続ける

「新木さん、何言ってるんだ?僕と祐子は付き合ってるんだから、当然2人は恋人同士だよ」

「そうですよね、この部に入る時も3人からそう聞いてましたし、入部後も私が見ても2人は恋人に見えるんですけど、忍さんと栞さんの話を聞いていると、斎藤さんは、高木先輩の事が好きだったんじゃないかって気がしてきて、忍さんと栞さんに聞いてもはっきりして事は教えてくれなくて、だから、今日、直接本人に聞いてみようと思ったんです」

「そう、そうだったんだ……」

 ある意味斎藤さんの黒歴史でもあり、ヘタレ萩原君にとっても黒歴史のようなもの。

齋藤さんと萩原君が2人で目を合わせながら、小さい声でぼそぼそ言い合っている

『裕子』

『しんちゃん』

『どうしよう』

『どうする』

『言う?』

『でも……』

そんな2人を見ていた新木さん

「何、2人でぼそぼそ言っているんですか?」

「いや、なんでもないんだ、まあ、色々あってね、そこは、ほら、プライベートな事だから、うん、忍さんも栞ちゃんも言わなかったんだよね」

「はい」

「そういう事だよ」

「そ、そういう事なの、だから、ねっ」

「はあ、なんで皆そこのところを教えてくれないんですか?」

「色々あるのよ、私としんちゃんが恋人なんだから、ねっ」

「う~ん」

2人もごまかされて、1人唸っている新木さんに向かって

「ねえ、新木さんはどうしてそんな事が気になるの?」

「はい、私って、1つの事にのめり込むと、それだけしか見えなくなるって言うか、気になるともうその事が頭から離れなくて、だからどうしても知りたかったんです」

「それって、私たちの事?」

「いえ、その……高木先輩の事なんですけど……」

「そー、やっぱりね」

「やっぱりっていう事は齋藤先輩もそうだったんですか?」

「そこはいいから」

「はあ」そう言って萩原君の方を見ると、萩原君の目が泳いでいるというかキョロキョロ

「あっ、高木君ありがとう、僕が汚したんだから、後は僕がやるね、弁当の途中でごめんね」

「いあ、いいんだ、3人で話しているみたいだったからね、じゃあ」

「ああ」俺は、バケツを萩原君に渡して、食べかけの弁当箱を開けて、食事を再開すると、萩原君はあわてて、自分が吐き出したご飯粒をティシュで拾い上げ、逃げるようにして、席から離れ床を拭き出した、その動きに斎藤さんが

「あっ、しんちゃん!」

「祐子、後は頼む」

「もう」

 萩原君は、新木さんの質問から逃げる事ができた。

 それからは、斎藤さんが新木さんの質問にうまく答えられずというか、うまくごまかすことができないでいるのを見た萩原君は、とっくの昔に綺麗になった床をひたすら磨き続けている。時々「しんちゃん!」の声が

 あ~あ、ちょっとあきれた?残念そうな、そんな顔をした斎藤さんを見て、俺が、1年の時に斎藤さんに絡まれて、その事を栞に相談して、許嫁と言う事になった事を言おうとしたら、斎藤さんが

「新木さん」

「はい」

「ねえ、どうしてそんなに気になるの?」

「私、昔から、気になったらとことん追求しなきゃ気が済まない性格で、中学生の頃は仲の良い友達から『残念瞳』って#$%&‘()$%&」

それから、昨日、忍と栞に説明してた事と同じような事を説明していたら

「そっか、ふ~ん、新木さんは高木君の事が気になってしょうがないんでしょ?」

「はい」

(えっ? そうなのか? てっきりラノベにはまって、そっち方面で『残念瞳』なのかと思っていた、俺? なにかやっちゃいました?)

「そっか、やっぱり。ねえ高木君、『はい?』今日って学校が終わったら塾の日よね?」

「うん、そうだけど?」

「そう、ありがと。新木さん、授業が終わったら部室に来てくれる?」

「はい、あのー」

「うん、そこで全部説明するから」

「わかりました、授業が終わったら、部室に来ます」

「じゃあ、お昼休みは、この話はお終い、お弁当食べましょ」

「はい」

 とりあえず斎藤さんはホっとしたらしく、萩原君も床を拭く(磨く)のをやめ、椅子に座ると今度は齋藤さんが萩原君に向かって

「しんちゃん、後でお話があります」

「は、はい」

 新木さんは俺にはそれ以上の質問はせず、斎藤さんに向かって

「授業が終わったら、まっすぐここに来ますから、その~」

「うん、ちゃんとぜーんぶ話すから」

「はい、よろしくお願いします」

「あのー」

「しんちゃんも一緒!」

「はい」

「あのー」

「高木君が塾だから、気にしないでね」

「ホッ」

「何ほっとしてるの? まあ、栞ちゃんには私から連絡しておくから」

「そ、そう、ありがとう」

「どうしたしました」

 お昼の部室でも新木さんの追求はとりあえず終わって、続きは放課後という事になり、俺はじゅくがあるからという事でこれで解放されたけど、新木さんって、最初は妖精と言われるだけあって、ほんわかやさしい綺麗なJKのイメージだったけど、見た目と違って、探究心がすごいというか、ちょっと驚いた。


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 授業が終わり、帰りのHRの後、斎藤さんが

「しんちゃん?」

「はい」

「行くわよ!」

「ひい」

齋藤さんの機嫌が悪いので、俺は

「斎藤さん・」

「あっ、高木君はこれから塾よね」

「うん」

「塾で栞ちゃんに会うでしょ?」

「うん」

「じゃあ、栞ちゃんに、夜でも連絡するからって伝えてくれる?」

「あ、わかった」

「じゃあね」

「じゃあ、明日

「高木君」

「萩原君 ?」

「また明日」

「ああ、また明日」

なんか今日の斎藤さん、いつもよりちょっと怖い、それに、気持ちがあまり顔に出ない萩原君が、おどおどしていて、こんな萩原君も初めて見た。

俺は2人に挨拶をすると、そのまま学校を出て、駅に向かい、電車に乗って塾に行く、お昼に塾の予習が終わっている時は、電車の中はサブススクで音楽を聴きながら、ラノベの世界。

新宿で栞に会える……

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