第22話わ~いお泊りだ~

【わ~いお泊りだ~】

「そうだね、そろそろ帰ろっか」と俺が言っても

誰も返事をしないから

「どうしたの?」栞と齋藤さんの方を見る

忍は俺達高校生を気にして

「そうね、高校生はそろそろ帰った方が良い時間じゃない?」

「そうだね」

それでも栞と齋藤さんは何も言わないから

「栞、どうしたの?」

「う、うん」

「そうよ、栞ちゃんも齋藤さんもそろそろ帰らないと」

「じゃあ、かっくん、一緒に帰ろっか」

「うん」

「ちょっと」そう言って忍が俺の腕を掴んだ

「忍ちゃん、どうしたの?」

「うん、かっくんと私は、ここに泊まるの」

「えっ?」

「実はね、この前パパが4人で旅行に行かないか?ってかっくんを誘ったんだけど、夏期講習があるからって断ってきたでしょ、だから従姉としてはね、昔からお姉さんとしてかっくんの面倒を見てきたから、パパの代わりにここお泊りして小旅行の気分をね♡」

「忍、そういうつもりだったの?」

「うん、夏休みに勉強ばかりじゃね?ちょっと息抜きも必要でしょ?♡」

「忍はいつも、俺に気を使ってくれるね、本当にありがとう」

「ちょっと、まさか2人だけで泊まるの?」

「そうよ?」

「それはまずいと思うわ」

「えっ?どうして? 私達従姉弟同志なんだから別にいいんじゃない?」

「ダメよ! かっくん、従姉弟同士でも、恋人になれるし、結婚して子供も作れるのよ、知ってた?」

「えっ? そうなの?」

「「やっぱり」」栞と斎藤さんがユニゾル

「ちっ」栞も齋藤さんが忍の舌打ちを聞いて

「あっ、忍ちゃん!やっぱり!」  

「もう」

「かっくんは私達と3人で泊まります!」

「えっ? 何それ、私聞いてない」

「当たり前じゃない。

忍ちゃんがそんな事たくらんでいるんだろうなって思ってたんだから、そんな人に言う訳ないじゃない」

「何? 何? 何?」

俺はこの3人の言ってることが良くわからなくてたじろいでいると

「高木君、あのね、せっかくこんな都会のホテルのプールで遊ぶんだったら、そのままここのホテルに3人で泊まって遊ぼって、栞ちゃんが計画してたの」

「栞、そうなの?」

「うん、2人っきりだったら、かっくん困るでしょ、でも3人だったら、一緒に遊べるから、夏期講習の中休みにいいかなって」

「栞、ありがとう」

「うん、齋藤さんも付き合ってくれたんだよ」

「そっか、齋藤さんもありがとう」

「ううん、3人でお泊りって楽しそうじゃない?だから」

「何よ、それ、私だけ仲間はずれじゃない」

「えーっ? なんですかー? 」

なんでまた棒読みなの?

「ちょっと!」

「忍ちゃん、あなた、私達に気づかれないようにこっそりとホテル2人分予約して、私達を出し抜こうとしたわよね」

「そうです、おまけに従姉とかお姉さんとか言って、従姉は結婚して子供を作れるって事、高木君は知らなかったんですよ、そういう事ですよね……」

「もう……ちょと、じゃあ私だけ1人ぼっち?」

「うん」「ハイ」

「ううっ、ごめんなさい、私も一緒にお泊りさせてください」

「えーでも3人ぎりぎりの部屋だからー」

「ごめんなさい、栞ちゃんの言う通りです、許して、ねっ、お願い」

栞が予約してあった部屋で4人で遊ぶことに、

そのまま寝てもいいし、場合によっては俺1人が忍の取ってあった部屋に寝るという事で、4人でいったんホテルを出て、コンビニでお菓子や飲み物を買ってから部屋に入って、くつろぐ。

順番に栞の取ってあった部屋でシャワーを浴びた。

全員がシャワーを終えて、皆それぞれ自分の支度をしている。

俺は今までもそうだったように髪は自然乾燥だからそのまま2人掛けソファーでくつろいでいると

「あっ!ゴム!」

齋藤さんが忍のコスメポーチの中からちらっと見えたのを発見した。

「えっ?」慌てる忍

「忍ちゃん、何持ってきてるのよ!」

「何って・・・そうよ、ゴムよ」開き直る忍

「忍ちゃん、それって彼氏とお泊りする時に使ってるのよね」

あっ、栞が何か企んでいるときの顔だ、

「違うわよ」

「えーっ彼氏じゃない人と使ってるの?」

「まさか……ビッチ?」

齋藤さん、なんかすごい発言

「違うってば!」

忍があわてて

「ちょっと!栞ちゃんも齋藤さんも何言ってるの!私はまだ乙女なんですっ!まだキスもしたことないんだから」

「え~ほんと~?」2人して忍をニヤニヤ目で見ると

「かっくん、私まだキスもしたことないのよ、乙女よ、男の人に抱き付いたのだってかっくんしかないんだからね、キスだって小学生のかっくんとしたっきりなんだから

ほんとよ、このゴムはかっくんと…….」

忍が一生懸命言い訳してるけど栞と齋藤さんがわーわー言って忍が何を言ってるかよく聞こえない

忍が栞に向かって

「そういう栞ちゃんこそ、もう、彼氏とキスとかしてるんじゃない?」

「うん、そうね」ドキッ……忍はもう既に誰かとキスを…….

「そう~」忍がニコニコしながら俺の方に向かって

「かっくん、そうなんだってー」

ああそうかやっぱり……

「うん、この前、ファーストキス、あげちゃったんだー、ねえかっくん♡」

「ちょっと!何それ!かっくん!どういう事?」

「高木君!どういう事!?」

「栞、そうなのか?」

「そうよ♡」

「ちょっと 何?」

栞を送って行ったとき、栞のマンションの玄関先で頬にキスされたことを話すと

「何、それ、不意打ちじゃない」

「でも、ファーストキスに変わりないもんねーかっくん♡」

3人でわいわいがやがや、ひそひそ話始めたり、笑いながらキャッキャしてたり、よくわからないけどいつのまにか朝の4時くらいまでこんな感じ、盛り上がってた。

俺はあまり話に参加できなかったけど、ほとんど見ているだけだけど、楽しかった。

なんだかんだ言って3人がいつのまにか仲良くなって、いいな~。


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