第17話2人の密談
【2人の密談】
「かっくんってゲームとかするの?」
「……しない……」
「そうよね、そんな時間ないものね」
「うん」
「30分くらい1人で時間つぶせる?」
「いいよ」
「でも、私達2人だと、また変な奴が来るかもしれないし……じゃあそこのカフェにバラバラで入って、私達の見える所で私たちを見守っていてくれる?」
「いいけど、何かあるの?」
「齋藤さんと2人で明日の打ち合わせがあるの」
「明日の事だったら俺も」
「女の子の秘密のお話もあるけど聞きたい?」
「いや、それはいい、わかった、栞たちが見えるようなところでコーヒー飲んでるよ」
「うん、ありがと」
「高木君、ありがとう」
「うん」
そう言って3人、いや2人と1人でカフェに。
俺はコーヒーとシフォンケーキを頼む。
反対側だけど、ちゃんと2人が見えるから安心。
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「栞ちゃん、さっきの話の続きなんだけど」
「うん」
「栞ちゃんが幼馴染って事はわかってるし、家も近所だから一緒にいる機会が多いのもわかる、でも、私だって学校が一緒なんだから、その時くらいは高木君と2人でもいいんじゃない?高木君と栞ちゃんは恋人じゃないんでしょ?」
「許嫁」
「ねえ、それほんと?なんか怪しいんだけど」
「でも許嫁」
「やっぱり怪しい」
「怪しいって、何よ」
「だって、高木君の態度見てると、そんな風に見えない」
……これ以上言い張ってもしょうがないか と思った栞はしぶしぶと、
「……かっくんには何度も確認しているんだけど、それに対してちゃんと返事はしてくれるんだけど、どういうわけかそういう態度なのよ」
「やっぱり、そういう事」
「かっくんって超鈍感で異常に自己評価が低いっていうか、高校に入ってさっそくぼっちになったでしょ、だからますますそうなったかもしれないんだけど」
「なるほどね~、でも中学の時はどうだったの?」
「あのころはまだご両親が亡くなられて、そのショックで本当の陰キャでぼっちだったのよ、それから高校受験するって言ってからは成績が少し足りないとかで、学校が終わるとすぐに塾だったからね、不器用なかっくんは、1つの事に集中するとまわりに目がいかなくなるから、女子には一切気が付かなかったんじゃないかな~」
「そっか、ふ~ん、そういう事、じゃあまだ私にも十分チャンスはあるんだ~」
「ないないない、絶対ないから」
「何むきになってるの?」齋藤さんがニヤと笑いながら
「……」栞が焦った顔
「フフフ 」ますます齋藤さん、ニヤニヤ
このまま言い争ってもなかなか本来の話に行きそうもないし、これから2人共闘しなければならない、そう思った栞は
「しょうがないわ、でも条件があるわ」
「何?」
「かっくんの勉強のじゃまはしない事、それから前にも言ったけれど学校の陽キャ連中、特に男子に気づかれないこと」
「わかった、守る」
「ありがとう」そう言って頭を下げた
「頭をあげてよ」
「ううん、これは条件だけど、私からのお願いでもあるから」
「栞ちゃんってよくわからない、腹黒だったり、妙に素直っていうか低姿勢なところがあって、どっちが本当なの?」
「かっくんのためなら、どっちでも良いのよ」
「ふ~ん」
「それと、相談なんだけど」
「えっ?まだ何かあるの?」
「そう、今日一番重要な事」
「どんな事?」
「忍ちゃんの事なの」
「高木君の従姉?」
「そう」
「やっぱり。従姉って今まで一度も出てこなかった人よね」
「そう、油断してたの」
「どんな人なの?」
「かっくんのおじさんの事聞いたことある?」
「うん、お父さんの弟で空手の道場やってるって事ぐらいだけど」
「そう、その人の娘さんなんだけどね」
「どうしたの?」
「私が引っ越してきたときは、かっくんにべったりだったんだけど、すぐに中学生になったから少し離れて、それからは私がかっくんと2人がいつも一緒だったんだけど、かっくんはおじいさんと2人暮らしだから、何かあればおじさん一家がかっくんを誘うの、そんなときは必ず忍ちゃんがべったりかっくんにくっついてね、でも高校に行ってからいろんな高校の男子と合コンしたりボーリングや、カラオケに行ったりしていたから、かっくんの事はかわいい弟扱なんだろうなって思ってたの、だから高校で彼氏作ってるって思っていたの、でも違った。
ただの従姉なら負けないって、頑張れるんだけど、女子力磨くための努力がすごくて、おまけに今、大学生だから、ただでさえ美人なのに、それ以上の大人の魅力っていうか、私達がすっごく子供に見えちゃうのよ。
そんな忍ちゃんがかっくんの事を男として見ていて、それに、まだあきらめてないみたいで、かっくんと2人っきりになろうとしているの、明日のプールも、おじさんがもってる株主か会員かなにかを使ってね、ホテルのプールなのよ」
「えっ?ホテル?」
「そう」
「私たち、一緒に行っても大丈夫?」
「うん、直接ホテルに聞いて予約したから、ビジターだけど、それは大丈夫なんだけどね、問題は忍ちゃんが……」
「どうしたの?」
「きっと、かっくんと忍ちゃんの2人に地方から来た親戚の女の子2人を連れてきたみたいな?」
「でもそれは高木君とぴったりくっついて一緒にいれば大丈夫じゃない?」
「そうなんだけど、問題はホテルの方なの、忍ちゃんとかっくんの2人だけで、そのままホテルに泊まるって事になるんじゃないかなって……」
「えっ?何それ」
「あくまでも推測なんだけどね、忍ちゃんの高校って大学の付属だから、ほとんど皆そのまま大学にいっちゃうのよ、だからそこの生徒って2年までしっかり勉強してちゃんとした成績を収めたら、3年で推薦が確定したら、受験勉強しないで、女子大生みたいな事やってるらしいのね、 特に忍ちゃんはすごいらしくって、見たらわかると思うけど、女子大生って言ってもとても1年には見えないくらい大人で、高校の時からずーっと女子力磨いてたのよ。
びっくりするくらい綺麗なお姉さんって感じよ、
お子様のかっくんはそういうのに疎いから、忍ちゃんがなんだかんだ言ってそのままホテルに……って思うと……」
「ダメよ、絶対阻止しなきゃ」
「そうなの、だから、今回だけは2人で協力して、阻止しなきゃって思うのね」
「そう、そういう事」
「そう、例えばなんだけど、そのままホテルで晩御飯食べようとか言って、ゆっくりしていたら夜遅くなったからホテルに泊まっちゃおうか、みたいな事言われたらかっくんは従姉だから別にいいかなって、おじさんも一緒に泊まること知ってるよ、とか言われたら何の警戒もしないでOKしちゃうと思うのよね、それ考えると……」
「ホテルの晩御飯ってすっごく魅力的だけど、晩御飯はどこか別の場所考えておいた方が良いみたい」
「そうなの、でも他に何を仕掛けてくるか私じゃあ想像つかなくって……」
「そうね、それでも1人よりは2人の方が阻止できる可能性が高いものね」
「そうなの、齋藤さんがこの事知らないで一緒に行ったら、きっと従姉なんだからそんなものって思うじゃない? ……きっと私1人わがまましてかっくんを独占しようとしてるって思うのよ、
それって忍ちゃんの思う壺、
かっくんの貞操が……従妹は結婚できるのよ、なんて言われたら・・そうなったらかっくん責任感強いから……」
「何それ、栞ちゃんより腹黒」
「そうなの、私より腹黒…….ちょっと!」
「ごめんなさい、そうなんだ、困ったわね」
「何か良い案、ないかなー」
少しの間沈黙が続いて、齋藤さんが
「じゃあ、もう3人で泊る前提にしたらどう?」
「3人?」
「そう、よくツインの部屋にエクストラベッド入れてもらって3人部屋にするじゃない、かっくんと3人で泊るのよ、そうすれば、ホテルにずーっといても、ねっ!」
「そっか、そうね、そのほうが安心よね、明日だけど空室あるか調べてみるね」
そう言ってスマホで空室情報を
「あった!もうこのまま3人にして予約しちゃうね」
予約し終わって
「これでホテルにずーっといても、かっくんの貞操は私達2人で守れるわね」
「最初から泊るつもりでいればいいのよね」
「そうね、じゃあ明日はその準備して行きましょうよ」
「「それじゃあ、、明日は2人でかっくんを守るわよ」」
「「OK!」」
30分くらい、2人で話し合っていたみたいで、最後は2人にっこりしてハイタッチ、それからがっちり握手していた。
なんだかんだ言っても、あの2人、やっぱり馬が合うんだよきっと、仲がいいと思うんだけどな~。
それから2人ニコニコ顔で俺の方にきて、
「お話は終わったから出ましょう」と言ってカフェを出た。
何故か、2人とも明日の洋服を買うって言って、それに付き合わされ、ようやく買い物も終わった。
齋藤さんも栞もこのまま素直に帰るのか心配だったけど、明日のこともあるからって言って、そのまま帰ることになった
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