第38話武器用素材を集めましょう

【武器用素材を集めましょう】


―豊洲ダンジョンの朝は早い


帰りは各階層に移転用魔方陣があるけれど、これはダンジョンが発現したときにそういう魔方陣が備わっているのはゲームと同じだけど、行きは違った。


ゲーム内だと、1度クリアすれば、次はその階層の入り口から始められるけど、この現実世界はそうは行かなかった。


以前、上級パーティーたちが、どこかの省庁か管理局に依頼して、移転用魔方陣を組んで、ある程度階層を飛ばすことができるようになったらしいけど、その魔方陣が結構大変らしく、その魔方陣を設置しなければ そこには行けず、当然未攻略階層はなし、以前設定された移転先から1階層づつ進んでいくしかない。


豊島に入る冒険者は多く歴史もあるので、各階層に移転できる移転用魔方陣が設置されているけれど、豊洲ダンジョンは1~10までは各層にあるが、それ以深は15、20、25階層にしか設置されていないから、移転ではそこにしか行けない、それ以外は自分たちで進んでいくしかない。


だから、27階層に進むには25階層まで移転した後、26,27と進むしかないから、朝早く行かないとそれより深層にたどり着く前に夜になってしまう。


この世界でなかなかレベルアップしない理由の1つでもある。



目的は須藤さんから聞いた27階層の宝箱。


マジックバック獲得のためだから、25階層に移転してから27階層まで ゆっくりモンスターを倒しながら進んでいく、3人ともいつもと違って慎重に回り見ながらモンスターのみを倒し、俺は探査スキルを使いながら下の階層に進んでいく。


他のパーティーがそれを見たら、ありあえないくらいゆっくり、何が目的なのか理解できないだろう事なので、時々隠蔽も掛けている。


ようやくお昼前に27階層まで到着し、ここでお昼

いつものようにコンビニのサンドイッチとおにぎり

マジックバックさえあれば、もっとちゃんとしたお昼が食べられるのに、ゆっくり進んでいるのだから、素材を集めれば、かなりの金額になるけれど、それもマジックバックがあっての話、基本的にリュックは俺1人、持ち運べる容量も知れている。


須藤さん情報とおじさん情報では27階層でマジックバックが発見され、 33階層にミスリル鉱石が、34階層でヒヒイロカネ鉱石が見つかったと聞いたので、それだけでリュックいっぱいになるから、宝具やドロップ品だけ注意を払い、モンスターは最小限倒して進んで行った。


結局マジックバックは見つからず、お昼も食べ終わって、どうしようか3人で相談することに、

宝箱は出現しなかったから、ワーム探索をするかという話になった。


ただワームは植物系か動物系の階層にしか生息していないから、一旦入口に戻ってから15階層に行くしかない。


そこで今回は、ミスリルとヒヒイロカネ鉱石の獲得に切替、そのまま下の階層に進む事になった。


どうせここまで来たのだから、このまま初めての階層に行ってみたいと言うのが2人の意見。


さゆりさんは、刀をゲットしたけど、俺もゆうも普通の武具、電撃魔法しか使えない俺は特にそれなりの武具がないとまともに攻撃に参加できない、


「高谷も攻撃に参加したいだろ?」

「はい」


この一言で鉱石採取の方向に決まった。

32階層までは前回経験しているが、33階層は初めて、どんなモンスターがいるのか、須藤さん情報しかない。


ここにミスリス鉱石がある。


俺は探索でミスリル鉱石をさがす。


一応レベル85の探索スキルは、ミスリル鉱石もお宝ではないが、重要換金(交換)素材なので薄くだけど反応する。


33階層は岩場がずーっと続く大自然だった。


おそらくこの岩場のどこかにミスリル鉱石があるのだろう。


俺はモンスターと貴重素材の回収の全てを全部2人に任せてミスリル探索に集中する事に。


2人がゆっくり歩く、その後ろについて歩きながら探索してると、思ったより多くの銀色ポイントが見える。


一番近い約500メートルほど先にあったので

「さゆりさん、500メートルほど先に、鉱石があります」

「よし行ってみるか」

「はい」


だんだんポイントがはっきりしてくる

ただ残念なことに鉱石は種類に関係なく全部銀色でしか反応しないので、何の鉱石かはわからない。


俺はゆうに頼んでナイフと鉈に魔法付与をかけてもらい、岩にナイフを当て、鉈の背をハンマー替わりにしてナイフをたたく、何度か叩いているとナイフが岩の隙間に入っていきミスリルと岩の間に切り込みができる。


これを何度か繰り返し30センチ四方のミスリルが。


結構でかい。


ここからゆうの出番、細くした青白い炎と氷の矢を交互に切り込みに打ち込んで圧縮膨張を繰り返し、まわりの岩を崩していくと、まわりの岩から切り離され、手がすっぽり入る隙間ができる。


隙間から見える銀色の鉱石、ミスリス鉱石だ。


深さも40センチ やった! 

しっかりリュックに入れ、3人でハイタッチ。


ゲームの世界では、鉱石は純度100%。


『武具と交換しますか?換金しますか?』と選べるたけど、ここは現実世界。

この世界でも純度が同じならば、この大きさだと余裕でゆうのロッドと俺の胡蝶双刀、鉈の加工ができそうだ。

リュックにはまだ余裕があるので、ほくほく顔でその先に進むと、狂暴な野生のやぎ型のでかいモンスター。


ワイルドニューゴートが6頭、上級ウルフと同じくらいの大きさだけど・・・そう考えると・・・上級ウルフのでかさがおかしいのかも、でも前足の爪も牙もないからそれほどでもないか、

俺は一旦リュックをおろし、臨戦態勢に。


武器の材質に不安はあるが、一応胡蝶双刀と鉈を手に入れた俺は、攻撃力と指と腕の防御ができるようになったので、アサシンスタイルではないけれど、少しだけど攻撃に参加できるようになった。


ワイルドニューゴートは岩場をまったく気にせず、一直線で、すごい勢いで俺達に向かって走ってくる。


あの角にやられるとまずい、そう思っていたら、ゆうが氷の矢を10?20本?すごい数を放つ


さゆりさんは、刀を抜かず腰を落とし斜に構え刀に手を掛ける、その構えは、居合い抜き?


先頭のワイルドニューゴート達はその矢をかわし思いっきりジャンプ、その後ろのワイルドニューゴートは反応が遅れゆうの氷矢の餌食に、矢をかわしてジャンプした3頭がさゆりさんの目の前に、と思ったら一瞬にして2頭が真っ二つ。


なんとかそれをかわした1頭が通り過ぎてから向き直し、俺達の方に。


胡蝶双刀を構え、その1頭に向かって超俊足で横をすり抜けるようにして脇腹を思いっきり切り裂き、最後に思いっきり深く刺しながら電撃を流し込むと、その1頭が崩れ落ちた。


ゲームの時とは違って、切れ味がいまいちなので胡蝶双刀は抜かずに刺しっぱなし。

鉈に切替え、思いっきり頭をかちわりとどめを刺して 終了


この毛皮と角はとてもよさそうな感じがするけれどリュックがいっぱいになるので、悩んでいたら、コア1個、毛皮は買取所に鑑定してもらうため1部切り取り、角1本だけ持って行こうという事で、それだけをリュックに入れ、ボス部屋?大きな岩山に洞窟が1つ、おそらくこの中にボスがいる。


500mくらい先に明かりが見える、出口は34階層だろう。


3人で頷き、ゆうがスパークを 洞窟の中が一瞬にして昼間のように明るくなった。

??またまたワイルドニューゴート?


確かにさっきの奴より大きいのが3頭、ボスだなって思っていたら、気づいたら、ゆうが同じ氷矢を20-30本


しかし3頭とも瞬時にかわしたが、しっかり1頭の足にささっていた。その傷ついて動きの遅くなった1頭に岩石攻撃、ボコッボコに容赦なく岩が上から落ちてきて1頭をつぶしていく。


さゆりさんはさっきと同じ居合の構え。


俺は胡蝶双刀を構え、下にもぐり腹をえぐる用意。


1頭をさゆりさんの居合によってドサっという音と共に崩れ落ち、俺は残りの1頭の角の先端ぎりぎりまで走り、直前でもぐりこんで腹に胡蝶双刀を刺し電撃、内臓がドボドボッ、崩れ落ちる寸前に這い出すと、灰になって終了。


さっき回収した素材よりこっちの方が貴重そうなので、さっき回収した素材をここに捨てて、代わりにボスの毛皮の1部と角とコアをリュックに入れ 洞穴を抜けると

同じような岩場が現れた。

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