第15話お買い物
【お買い物】
土曜日、授業が終わり、4人でビックダンジョン館へ
「どんな装備品が売ってるんだろう、楽しみ」
「ねえ、どれくらいするのかな~、お金足りるか心配」
「安物でそろえると、レベルが上がった時に、また全部買い替えなくちゃいけなくなるから、1点でも良いから良い物を買った方が良いって経験者の人が教えてくれたんだ、だからお金が足りない時はそのお金で買える一番良い装備品を買えばいいんじゃないかな」
「そっか、そうだよね、無理に全部揃える必要はないよね、
今までも学校から借りていたんだから、そうよね」
「私、その話聞いてなかったら、全部揃えようとしてた、高谷君ありがとう」
「ううん、経験者の人からのアドバイスだから」
(ゲームの知識だけど)
「その経験者ってどんな人なの?」
「大学生なんだけどね、すごい人なんだ」
「そっかー、いいな~、私もそんな風になりたいな」
「じゃあそのためにもがんばろうか」
「うん、でもほんと高谷君がいてくれたおかげで、そんな話も聞けて、私たちだけだったら、こんなにうまく行かなかったと思うんだ。ほんと高谷君には感謝だね」
「ああ僕もそう思うよ、僕なんかこの体系だからって何も考えずナイトにしたけど、具体的に大盾、大剣を持ってどう動けば良いか、高谷君に教えてもらってから、具体的な目標もできたし、頑張ればレベル上げもできそうだし、
本当に助かってるんだ」
「そう?そう言ってくれると俺もうれしいよ」
そんな会話をしながら、ビックダンジョン館に。
「ヨドバシダンジョン館とヤマダダンジョン館もあるから、とりあえず一回り見てみようか」
「「「うん」」」
ダンジョン館の中は、1階は共通に使える装備品、2階からはそれそれのジョブに合った装備品を置いてあったので、1度皆で全フロア―をぐるぐる回りながら最上階に行く事にした。
最初はそれぞれのジョブのフロアーで別れて、後で皆で話し合おうと言っていたけど、どういうわけか、俺にも見てほしいと言う事で全員で廻ることに。
俺に経験者の知り合いがいるという事で、なんらかのアドバイスが欲しかったみたい、皆何を買えばよいかわからず、不安だったんだと思う。
どのジョブでも、良い装備品は当然高い。
俺達のこずかい程度で全部はそろえるのが難しい、この程度の装備費なのに今まで貯めていたお年玉全額が消えた。
お金持ちで、親が子供の身の安全のため、とかいうのはあるかも知れないけど、普通の高校生にはきつい。
ビックダンジョン館もヨドバシダンジョン館もヤマダダンジョン館も置いてあるものはだいたい同じで、それぞれお互いの店舗の金額を表示してあり、それよりもうちは安いですよ~ という感じなので、急いで3つとも廻らず、1つだけをじっくり見て、初めてだから買うのも1つくらいにしようと話し合った。
この前もそうだったけど、お店のフロアーいっぱいの商品はそれはすごい光景で、本当に目移りしてしまい、良い物ほど高い、おまけに高い物を見てしまうと、それ以下の性能、機能の装備品が劣って見えてしまい、買う気もうせる。
結局皆、護身用として使える刃渡り30cmのナイフを買う事にした。
「やっぱい良い物は良いね~、でも高くて買えない」
「うん、そうだね」
「素材が売れるようになってお金ができてきたらこうやって1つづつ揃えていこうよ」
「うん」
「このナイフは、学校の貸与品より物は良いし、楠さんも大谷さんも護身用として使えるでしょ、伊達君も何かの時に絶対必要になるよ、それにラビットとかの毛皮を剥ぐときも使えるしね」
「うん、1つでも自分の武器があると、やなんかこう、探求者になった気がする」
「うん、私もそう、今までは学校の実習って気分だったけど、これからは『私は探求者』って気持ちになる」
「それじゃあ、次からは素材を売ってみる?」
「うん」
今まで狩り取った素材は、家で記念品として置いてあったり、俺みたいに姉弟や親に配っていたらしいけど、これからは探求者として、学校から戻された素材は豊島にある協会の買取所に持って行くことになった。
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――豊洲の朝は早い。
さゆりさんはイヤな顔もせず、俺達とゆう達高校パーティーに毎週のように付き合ってくれる。
そして日曜日、3人で素材狩り、豊洲の中級ダンジョンで3人ともデバフを掛けて正々堂々とダンジョンに入る。
さゆりさんが41,ゆうが39、俺が29
12神将のデバフは効果が違う、軽くかけても約35%ダウン、それに比べ俺はせいぜいがんばって30%ダウン
う~ん12神将、90の壁は思ったより大きい、本当にすごい。
『最初はグッ、ジャンケンポイッ』……?おかしいな~・・・・・・
2人の後ろについて行き、入口で初級ダンジョンと同じようにカメラ?の前に立つ
監視員が「探求大学の学生?」
「まあ」さゆりさんとゆうが誤魔化す。
確かにこんなに若くて41と39だもんな・・・
俺も90になりたいな~
ダンジョンに入るなり2人は滅茶苦茶暴れまくっていた。
プリーストなのに剣でモンスターを切りまくってるし、アークウィザードがありとあらゆる魔法をぶちかまして、電撃?エネルギーボルト、ファイヤーボウル、氷、炎、なんでもありのゆう。
俺は2人が倒したモンスターの素材の回収でいっぱいいっぱい。
いつのまにか俺のリュックがいっぱいになって、
「あの~、リュックがパンパンなんですけど」
「ん?」
「でも、まだドロップ品が出てないんだよね~」
「ああ、宝箱もまだだしな」
「いや、でももうこれ以上持てないですよ」
「そっか」
「はい」
ようやく2人が落ち着いて、俺の所に戻って背中のリュックを見る。
「まあ、今日はこんなものか」
「そうですね、また来週にしますか」
「しょうがないな」
って・・・俺は全然戦わず終わった。
2人はダンジョンで今までのうっぷんを晴らしたかのようにスッキリした顔で、俺は思いリュックを背負ってくたくたになりながら出口近くでデバフをかけてダンジョンを出る。
そのままデバフを外しながら500m先にある冒険者協会の素材買取所に
買取金額は後日3人のカードに振り込んでもらう。
「まあ、こんなものかな」
「そうですね ドロップ品がなかったのが残念ですね」
「・・・・・・」
「あれ?かっくん どうしたの?」
「俺、4連敗なんで、最近全然戦ってなくって……モンスター1匹も倒してない」
「そっか、それは残念だったね」
「まあ、あれだ、かよわい女性に重い荷物は持たせられないっていう高谷のやさしさに甘えさせてもらったという事だな」
「そうですね、かっくん、やさしいから」
「はあ」
「4連敗か、しょうがないな、GWのどこかで、譲ってやるから、まあそういうことで来週も頼む」
「かっくん来週も、願いね」
「いや、来週こそは勝つ!」
「そう?」
「おお」
ちゃんとした武器とマジックバックさえあれば・・・・・・
お金は貯まるけど、ストレスも溜る・・・装備が整うまでの辛抱か・・・・・・
平日は学校の皆と初級ダンジョン、日曜日は3人で豊洲のダンジョン、俺はずーっと荷物持ち。
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こっちの世界でダンジョンに潜り始めた最初の頃、豊島ダンジョンの28階層で、ホーンウルフ3頭を3人でそれぞれ1頭づつ倒し、トロールに出会った時、ゆうが弓を放ったけれど、外してしまった、100発100中のゆうが。
あわてて俺がトロールに向かって走り出し、さゆりさんが剣を構え、俺が傷つけまくって弱らせた所をさゆりさんが心臓部を刺して倒したけど、ゆうは、背中の、コアと素材がいっぱいに入ったリュックが邪魔でうまく腕が動けなかったらしく、後から聞いてみるとさゆりさんもそうだった。
背中のリュックがじゃまで思うように剣が振れない、ゲームの時は真っ二つになるはずが、倒すことはできるが真っ二つまでにはならなかった。
それを聞いて、俺も、特注の胡蝶双刀がなく、ちょっと長めのナイフを使っていたが、護拳がないので、あやうく指を切断しそうになり、慌てて回避して戦った事もあるから、本来の戦い方ができない事もあり、豊島ダンジョンと中州のダンジョンの中層あたりまでは、俺が1人リュックを担ぐ事になった。
ただそれだと俺1人モンスターと戦えない。
最初は、『それじゃあ高谷がつまらないだろうから、ボスを倒すのは順番にしよう』と言ってくれたが、俺はじゃんけんが強い、中学時代負けなし。
ボス以外のモンスターを譲って、荷物持ちを買って出た事もあり、俺がじゃんけんを主張すると、荷物持ちをしてもらって申し訳ないからという事で、俺の案が通った。
これで、ザコは2人にまかせて、俺は1人でボスを狩りまくり、って思っていたのに・・・なんで勝てないんだ?・・・あ~2人の言う通り順番制の方が良かった・・・
今週末からついにGW!
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