シュガーなカノジョ

ココアシガレット

第1話 東京の夜景は大勢の社畜と一部のリア充で出来ている

東京という所は、日本国と呼ばれる国の首都である。人口は1000万人以上、東に行けば人がわんさかおり、西にいれば閑古鳥が鳴いているような、よぅわからん場所だ。

まあそれは置いといて、みなさんは『東京の夜景は大勢の社畜と一部のリア充出できている』という言葉を知っているだろうか? もし知らなければ、これから東京の夜景をみたら「キレー、キャハハ♡」とは言わないで欲しい。言ったあなたには、もれなく終わる前にどんどん積まれていく仕事の山とお先真っ暗なステキなミライを差し上げましょう。

ん? お前はどっちなんだって?(笑)

んなの決まってるだろ、


『社畜だよ』


「はっ! ここは」

ガタッ! と音を立てて起き上がると、会社の中にいた。腕時計を見ると時間は11時ちょっと前、手元には今日の午前中に上司から投げられた仕事の書類が乱雑に広がっていた。

「寝てたのか……」

ガシガシと頭を掻きながら、書類の1枚に目を通す。それは確か上司が担当するはずの案件なんだが、なぜか上司はやたらと俺の方に仕事を回してくる。おかげで、今日も今日とて絶賛残業中だ。

あのクソ上司、次会ったら絶対に殴ってやる。

そんなことを意気込んで、入社してはや5年。今の上司になってはや2年。もう少しで30になる事に妙な感慨を感じている今日この頃である。

「今日はもうやめにして、残りは明日にやろう」

そう区切りをつけ、帰りの支度を済ませ、会社を出る。

東京の夜景は大勢の社畜と一部のリア充によって出来ている。むかし、ユーチューブのコメ欄にこんな言葉があり、深く頷いたのを思い出す。

今の自分がどちら側かと言われると社畜側だろう。毎日、夜遅くに帰って、家に寝に帰って、朝早くに帰宅する。そんな日々に不満がない訳では無い。だからといって、今の職を手放せるほどの覚悟もない。間違っていると分かっていながら、それを酒と適度な言い訳で誤魔化す。自分は変われるという考えは、自分は変われないという結果として帰ってくる。それなら、いっそのこと諦めてしまえばいいのだ。

そう思いながら、オレは今日も間違える。

だぶん、そう奴らの集まりがこの東京の夜景なのだろう。

そうしてオレは帰りの電車に乗るため駅のホームへと、足を運んだ。




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