第15話 方言男子の特別な仕事

うちのたっくんは大の電車とバス好き。おじさんから時刻表をもらうくらいのガチ勢なの。そんなたっくんに一つの仕事が舞い込んできた。今回は愛央もついてきていいらしい。やったー!


あお「たっくんどこいくの?」

たく「方南車庫」

あお「車庫!?なんで!?」

たく「俺が4月から方南バスの車内放送に俺が起用された」

あお「すごーい!でもたっくん、方南車庫ってどうやっていくの?」

たく「方南車庫までなら100円だよ。バス使っていくか?」

あお「えっ、100円!?」

たく「知らんかったかー」

あお「うん・・・」


正直うちはたっくんより知識は乏しい。でもチア部の中では電車やバス好きって浸透してる。本家のたっくんにはまだまだだけどね。たっくんから聞いた情報を元に、今日初めて方南車庫に行くことにしたの!


あお「あれが方南車庫行?」

たく「うん」

紅野「お待たせしました方南車庫行きです」

たく「わぁ」

紅野「あれ、どうしたの。方南車庫?」

あお「愛央もいるよー」

紅野「あらそう。動くよ。捕まっててね」

たく「客全然おらんね」

紅野「車庫まで実質回送だからな」

たく「本社出勤の人用のバスとかあんの?」

紅野「どうだろ、ないんじゃない?」

たく「はへぇ、ないんだ」

あお「車庫って意外と近いんだね」

たく「らしいなー。一回歩いてきたことあるけど」


方南車庫に着くと、うちらはおじさんについていった。中に入ると担当の人がもう待っていたの。実はあたし、人見知りだから怖がってた。


紅野「お疲れ様ですー。甥っ子たち来ましたよ」

たく「初めまして。琴乃匠と申します。どうぞよろしくお願いいたします」

所長「よろしく。所長の喜都司きとじと言います。紅野くん、横にいる子は?」

紅野「姪っ子の愛央です。恥ずかしがり屋の人見知りだから許してやってください」

あお「こんにちは・・・愛央っていいます」

所長「紅野くんいい姪っ子と甥っ子だね」

たく「恐れ入ります」

あお「ぎゅー」


早速たっくんは放送の収録に入って行った。うちはお守り代わりに持ってたポンポンを両手におじさんと2人で見てた。


たく「お待たせいたしました。毎度ご乗車、ありがとうございます。このバスは、大野駅・方南高校経由、天川中央駅西口行です。次は、琴乃本社前、琴乃本社前です」

あお「すごい、さすがたっくん。聞き取りやすい」

紅野「普段早口で喋ってるから、より聞き取りやすいようにゆっくり話してるね」

あお「がんばれっ。たっくん」


それから2時間後、中休を終えた叔父さんとたっくんと3人でおうちへ。所長さんが叔父さんを早退させてくれるって言ってて、このまま遊びに行くことになったの!


たく「ひー、きつっ」

あお「ぎゅーーっ♡♡♡」

たく「おいどうしたんだよ・・・」

あお「がんばったからぎゅー♡」

たく「は、はぁ・・・」


やっぱりうちは頑張ってるたっくんが好き。そう思ってたっくんに抱きついた!そのままお出かけして明日からも頑張ってほしい!

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