第44話 年度の締めくくり

 修学旅行から帰った二年生が学校に行かなければならない日数は、残り二でした。授業を一日だけ行って、翌日は終業式と大掃除がありました。その授業がある日も、修学旅行のお土産交換で浮かれまくっていました。まるでバレンタインのような熱量でしたね。ちょうど修学旅行がホワイトデーと重なっていたため、手作りお菓子を持ってくる男子生徒もいました。去年はステンドグラスクッキーを作った子がいましたけど、店頭に並んでも遜色がないクオリティに脱帽します。


 私も生徒からお菓子をもらったり、バレンタインに日頃のお礼として渡した先生から返礼品をいただいたりして、甘いものに癒される日を送りました。


 大掃除で掲示物やロッカーの私物が撤去されると、一年間早かったと思えます。一週間は恐ろしく長いのに。

 クラスに向けた最後の挨拶は、また副担あるいは授業担として関われたら嬉しいという前向きなメッセージを込めました。新年度の人事を分かっていながら、継続とも変更とも取れる態度を取るのはくすぐったい思いになります。ドッキリの仕掛け人は向いていないかもしれません。


 もう一つの副担をしていたクラスは「やっと終わったか」と胸を撫で下ろすほど手を焼かせてくれました。そう思わせた自覚はあるのかないのか、ギャル達が花束を届けに来てくれました。教室のコンセントでヘアアイロンを勝手に使おうとして、度々注意したのですけれど。根っこのところはよい子達だったのだと感じましたね。


 新年度に向けてデスク整理やプリントの改善をし、心機一転頑張るための準備をしたのでした。

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