第30話 声に耳を傾ける
去年の一年生は、古文のヤ行を「やゐゆゑよ」あるいはワ行を「わいをえん」と誤答していました。動詞の活用表も、四段活用以外の正解率が高いとは言えなかったのです。
今年度はより丁寧な説明を入れた授業にしましたが、G7明けに抜き打ちで解かせた確認問題で私が撃沈しました。オンラインで配信した課題(歴史的仮名遣い・四段活用・上一段活用・上二段活用)から抜粋した問題のはずが、できている人が少数という謎現象が起きたのでした。復習が足りていなかったのか、答えを丸写ししたのか、流れ作業になっていたのか、色々と原因はあるでしょう。平均点十点台を覚悟しつつ、暗記しなければいけないポイントを確認させました。その結果、予想の遥か上の数値を叩き出してくれてホッとしました。
まぁ、夏休みを間に挟むと記憶消去されてしまいがちなので、正念場は続いていきます。「や」「えい」などを音読するときに、声を弾ませる一年生達のなんとうつくしきこと! 古文ならではの響きを皆が楽しんでいて、「児のそら寝」の授業は毎時間楽しくなりました。
そのような生徒との時間をもとに、二十首連作「伝われ鼓動」が生まれました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330657598231095
せっかく先生をしているのですから、私にしか詠めない光景を表現しようとしたつもりです。朝の登校中から放課後までの時間を閉じ込めました。
今やクラスメイトのインスタをフォローする時代らしいです。先輩後輩のアカウントも、自由に閲覧しているようです。可愛い一年生の女子がいるのよと、女子生徒からインスタを見せられたこともありました。服装検査でメイクを落とさせるくらいには、うちの女子は見た目へのこだわりが強いです。話は逸れましたが、先生の目の届かない中で交友関係が広まっていることに驚かされます。
私が高校生のときにもインスタはありました。ただ、SNSを頑なにやらなかったのですよね。学校の人間関係がめんど……友達の数は少なく深くがモットーでしたから。メールで済むならメールでやりとりをしたい派です。業務上LINEを使わざるを得なくなるまで、既読に悩まされるのが嫌でした。そんな高校時代と比べれば、だいぶ丸くなったものです。
ブロックされたりフォローが外れたりするのは、大人でもメンタルが傷つきます。クラスメイトからSNS上でも距離を作られれば、この世の終わりのような気持ちになってしまうかも。SNSがコミュニケーションツールとして欠かせないものとなっている中、生徒の悩みも多様化している気がします。
もちろん、SNSも悪い面ばかりではありません。タイムラインに流れてきた「無口無表情ドS×ツンデレ姉御肌」カプに、創作意欲を掻き立てられました。肥前ロンズさま、誠にありがとうございました!
おかげさまで「無表情×ツンデレしか出ない短編集」が爆誕しました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330658846543751
同じ設定で違うカプを書き分けられるのか、限界にチャレンジしています。特に二組目はドキドキしながら投稿しましたね。自分一人では浮かばないアイデアとの一期一会、それがSNSの良さだと思います。誰かを悲しませるためのツールにはしたくないですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます