青の部屋

 白の部屋で寝てると突然のブザーの音で目が覚めた。けたたましい音が空間を揺らす。美奈は焦って着替え始めた。


 時間は悲鳴を上げるように進んでゆく。美奈は部屋の扉を少しだけ開けた。そしてそっと廊下を覗いてみた。支配者が笑ってる。どの部屋からだろう? 白いこの部屋以外には黒、赤、青、緑の部屋があった。


「青だ」


 直感が呟いた。直感はいつも頼りのある友達だ。決して彼女を裏切らない。

 美奈は部屋を飛び出し、青の部屋の前に止まり、扉に耳を当ててみた。

 ああ聞こえる。支配者の笑い声が。何時にも増して、高らかに。何時にも増して、朗らかに。


 ドンドンドン!


 美奈は扉を殴り始めた。

 主張とも言えた。だが、そんなノックの仕方しか知らないのだから仕方がない。

 扉の向こうから声がした。


「どうぞ」

「白の部屋から来ました」


 そう言って美奈は扉を開けると、そこには古めかしいテレビを見つめる少年が椅子に座ってた。何と言うことだろう。少年だったなんて。今までの支配全てがこの小さな少年だったなんて——


 美奈は隠し持ったナイフを床に落とした。少年はそれでもテレビから目をそらさない。状況がよく呑み込めないまま、美奈は部屋を後にした。


 何歩か歩いた時、青の意味を理解した。

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