ACT.21 『ペンダントの中の笑顔。彩聖に母のぬくもりを!』


foris=foliaa S地区



「今日も雨か...」

「アルテミスをすっ飛ばすのも、雨だと大変なんだ。幾らトラコンが効いてても、危なっかしくてね」

「なんと言うか、馬力がありすぎるんだよ。この子は」

万理架が愚痴をこぼす。


流石は、軍用スペシャル・スペックを誇るアルテミスだ。

その艶っぽい真っ白な外装に、雨がしたたり落ちた。


「フフフ」

「今日も任務遂行ご苦労様です」

彩聖が労を値切る。


「どうしたの。何か良い事でもあったの」

万理架が聞く。


彩聖が首を振った。

「違うんだ。逆だよ、逆。嫌なことがあった時は、このペンダントを覗くんだ。そうすると、不思議と気持ちが、とっても暖かくなるんだ」

「お母さんがそばにいてくれるみたいで..」


母のいない彩聖と万理架。

彼女らにとって、数少ない母との思い出の品。


「ねぇ、彩聖。わかってるよね」

「それ、二人の物。なんだからねっ!」


「わかってるっ」

「フフフ」


この所、元気がなさげだった彩聖に笑顔が戻った。

雨が止み、

夕陽の中、眩しそうな二人の姿。



ACT.21 『ペンダントの中の笑顔。彩聖に母のぬくもりを!』終

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