ACT.16 『炎のカンパニョーロ!気分はインデュライン』



13時15分、左手のSWATCHを気にする彩聖あやせ


おや、

少し遠くの方から、いつもの声が聞こえてきた。


「お待たせー」

遅れたことを悪びれない大きな声の万理架まりか


「遅い、遅い」

彩聖がしびれを切らす。


「はぁはぁ」


ふと彩聖のロードバイクに目をやる万理架。

「へー。これが彩聖の言っていたカンパニョーロか?」

「でも、シマノの方がいいんでしょ」


「もう、何も知らないんだから」

「カンパニョーロは何時でも最高さ」

「シマノの方が、性能がいいだって?冗談だろ」

「否、百歩譲る」

「でも、製品に美しさを宿っているのは、カンパの方なのだから」

「わたしは、カンパニョーロの美しさがとことん好き。自分が異常だと思うくらい好きだよ」

「レースだったら、熱く熱く、炎のように走ってやるよ」

急に真剣な顔な彩聖。彩聖のカンパニョーロ愛が止まらない。


今度は、彩聖が自分のバイクを解説しだした。

「万理架ちゃん。恐れ多いのですよ。このロードバイクは、カンパニョーロ・スーパーレコードEPS 14S_デローザ プロトスDISCって言うんだよ。マニアの間では、スーレコとかスパレコって言うんだよ。しかも、プロトスですよ。これだけで新車のコンパクトカーとか買えちゃうんだよ」

「やっぱり、イタリアのロードバイクには、イタリアのグループセットをつけなければ」


「説明、ながっ!ついていけん」

ツッコミをいれる万理架。


「さぁ、行こう」

彩聖が万理架をいざな


「おい、私のバイクには、何も触れんのかい?」

自分のバイクにも、少しは説明が欲しい万理架。


ちなみに万理架のロードバイクは、カンパニョーロのアテナのグループセットで組んだデローザ・アイドルである。

乗っている本人は、その価値に気づいていない。



それぞれの場所でスナップショットする二人。



夕方

「今日はありがとうね」

「あっ、そうそう。ボトルゲージの中の請求書見ておいてね」

「さようなら」


「えっ、うん?」

「請求書?」

「830,000円也」


「彩聖のばかー---------」


「嘘だよ」


其の後、目黒の交差点から藤沢駅までライドする二人であった。

今度は、どんなに遠い場所に行くのだろうか。



「暗くなってきたから、ライト点灯しなきゃダメだよ」


「うん、わかってるって」


「ねぇ、さっき」

「レースだったら、熱く熱く、炎のように走ってやるよって言ってたでしょ」


「うん。言ったよ」


「だったら、今度は、二人でレースに出場してみたい、私、初心者だけど...」

「私だって、負けないよ」


「万理架がその気になってくれて、嬉しいよ」

「じゃあ、私も絶対負けないよ」


「ハッハハハハッ」

「ハッハハハハッ」


今度のレース会場では、炎のように燃える少女が二人いましたら、

声をかけてくださいね。


ACT.18 『炎のカンパニョーロ!気分はインデュライン』終





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