ACT.17 『11才の休日。私だけの図書館』



「今日は、レヴルージュでの勤務はお休みです。なので、私の大好きな図書館に行こうと思います」

「その図書館は電車に乗って、自宅から1時間半ほどの場所にあります。」

「何か読みたい本があるわけではありません」

「あの場所の空気感が、とっても好きなんです。私」

「だから、あの時の私に帰るんです」


稲城中央図書館。

それは、彩聖あやせにとって休息の場所であり、今は亡き母との思い出の場所であった。

今も2-Eの札がある一角には、彩聖がまだ幼い時に、母に読んでもらった本がひっそりと並んでいる事だろう。


図書館に向かう電車の中から、青空を眺めると、昔の自分の姿が次第に蘇ってきた。

南多摩の改札口を出て、10分ほど坂を上ると、そこには、今の変わらない姿の稲城中央図書館があるのだ。


「はぁ、はぁ」

「ようやく着いた!」


図書館の入り口で振り返る彩聖の姿。

「お母さん、着いたよ...」



ACT.17 『11才の休日。私だけの図書館』終





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