全て終わったはずだったのに

桜龍

プロローグ

「全て終わったはずだったんだけどな」


俺、夜叉宮堅示やしゃみやけんじは自宅のベランダでタバコを吸いながら呟いていると後ろから声が掛けられる


「堅示、まだあいつの事引きずっているのか?明日は開店の日だぞ大丈夫か?」


「いいや、なんか明日新しい人生が始まると思ったらなんだか思い出したんだよ。」


俺に話して掛けてきた奴は俺の親友で明日開店する店のオーナー兼店長の荒田沙天あらたさてん


「いや、引きずっていないなら良いんだ。明日からよろしく頼むぜ副店長!」


バシッと俺の背中を叩いて沙天は部屋へ戻って行く。


「さて、明日は忙しくなるから俺もそろそろ戻るか」


灰皿にタバコを押しつけ火を消した時ふと夜空を見上ながら一年前の事を思い出していた。


・・・一年前・・・


「堅示、私たち別れましょう。」


俺のGWは恋人からの最悪な一言から始まった。


「私たち付き合ってから今日で3年同棲して2年よね、一緒に過ごしたくて同棲していたけれど、貴方はこの一年私より仕事を優先して時間を作ってくれなかった。」


彼女の氷雨桜華ひさめおうかが最悪な結論に至った理由を俺にそう伝えてくる


「待ってくれ、桜華この一年君より仕事を優先してしまっていた事はすまない、だが私にも考えがあったんだ。」


俺は今年の末に桜華に結婚を申し込もうと思っていた為、残業に増やし指輪や結婚式の代金を貯めていた


「なら、その考えを私に教えてくれないかしら」


桜華は苛立った表情を浮かべながら私に問いかけてくる


「それは・・・」


「ハッキリと言いなさいよ!」


「すまない、俺は君に結婚を申し込もうと思ってお金を貯めていたんだ」


俺はここで自分のプライドを守る為にはぐらかしても無駄で最悪桜華が居なくなってしまうと考え隠していた事を全て打ち明けた


「結婚?貴方とする訳ないでしょ。貴方は側にいて落ち着いたから同棲していただけで本当に私が結婚したいのはお金持ちの男だけよ」


「えっ・・・」


俺は今桜華が言った言葉が理解できずにただその場でフリーズする事しか出来なかったが桜華は続けてこう言ってきた


「落ち着いて、色々買ってくれるから付き合っていたけど結婚を考えてるとは思ってなかったけど、これで尚更貴方と別れる理由が出来たわね、それじゃサヨウナラ」


桜華はそう吐き捨てると部屋から出て行った

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