第6話
中3でも沖縄の同じ中学に通うのかと思ってたら、中3で大阪の中学に転校することになった。両親はまだずっと沖縄で仕事してるんだけど、自分は中3になるから、高校受験を落ち着いてやるようにと、大阪の祖父母の家に行って、そこから中学に通うようにとの、両親の意向だった。
大阪の中学に転校して、男子はみんな面白い子ばっかりやったけど、女子はみんな優しく接してくれて、どちらかというと自分は女子と仲良く友達になっていった。
そんな中、特に自分にめっちゃ優しくしてくれる子がいて、自分の制服が少し汚れてるなって思ったら、エチケットブラシで自分の制服をササッと拭いてきれいにしてくれて、可愛いキャラクターの描かれたエチケットブラシを自分にプレゼントしてくれる。学校で、何かと話しかけてきてくれて、自分のちっちゃい頃の話や、中3になってこの中学に転校してきた今に至るまでの自分の話を、めっちゃ興味深く聞いてくれる。今の中学に転校してくるまで、どこで生まれて、どこで育ってきたかなど、自分の話を毎日、めっちゃ嬉しそうに聞いてくれる。自分と出逢えたことを、めっちゃ嬉しそうに思ってくれてるのだ。その子が、たかなしさんだった。名前も、もえさんだった。
修学旅行で岐阜と長野方面に行った時も、いつも、たかなしさんといっしょに行動した。善光寺に着いて、2人で仲良く並んで歩いた。緑の生い茂った木々の下の参道を歩きながら、いつまでも、2人で仲良くいっしょにいられますようにとお願いした。お土産屋さんで、「牛に引かれて善光寺詣り」と書かれた湯呑みと、信州蕎麦と、おまんじゅうをいっしょに買った。
でも、たかなしさんに、小学生の時に結婚相手を占ってもらったら、その相手の名前が、『たかなしもえ』さんだと言われたことは、ずっと黙ってた。結婚相手って、けっこう中3には、まだまだ重いから、軽々しく言わないほうが良いかなあと思って。中3ていう、めっちゃ大事な時期だから、たかなしさんと毎日学校で仲良くしてもらってるだけでも良いなあと。
ずっと、毎日学校で会ってても、いつ言うべきなんやろか?どのタイミングで、話すのが良いやろなあ~って、いつも考えていた。
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